事故で自動車保険を使用するとどのくらい等級が下がるのか解説
自動車保険の「等級」とは、事故歴に基づいて保険料の割引率・割増率を決めるしくみのことを言います。個人が加入する自動車保険では、「ノンフリート等級制度」が適用されており、単に「等級」とも呼ばれます。
等級には、事故の有無が大きく影響します。つまり、事故の有無が、保険料に大きく影響するということでもあります。
今回は、事故を起こした場合に等級がどう変わるのか、等級に影響する事故とはどのようなものなのか、また等級によって保険料の割引率がどう違うのかなど、事故と等級の関係について詳しく説明します。
事故で自動車保険を使用すると次年度の等級が下がる
等級は、無事故であれば年に1等級ずつアップし、これに比例して保険料が割安になっていきます。一方、事故が起きて自動車保険を使用すると等級がダウンします。等級が下がるほど割引率が低くなる、または割増しになり、保険料が上がります。
等級が下がる事故の種類
事故で自動車保険を使用すると、等級が下がります。等級が下がる事故には以下の2種類があり、事故内容に応じて下がる等級数が判断されます。
1等級ダウン事故
1等級ダウン事故とは、翌年度の等級が、事故1件に対して1等級下がる事故を指します。主に、走行していないときに車が損害を受け、車両保険を使った場合などがこれに該当します。 以下に1等級ダウン事故に当てはまる事例をご紹介します。
1等級ダウン事故に当てはまる事故原因- ・火災・爆発
- ・盗難
- ・騒じょう・労働争議に伴う暴力行為または破壊行為
- ・台風、竜巻、洪水、高潮、そのほか自然災害での水没・浸水
- ・落書・いたずら等の契約自動車への直接的な人為的行為
- ・飛来中・落下中のものとの衝突
- ・上記ほか、偶発的な事故による損害
【1等級ダウン事故の具体例】
- ・自然災害で車両が破損した場合
- ・駐車場に駐車していた車両がいたずらで傷つけられた場合
- ・車が盗難にあった場合<
- ・飛び石でガラスにヒビが入った場合
- ・台風で飛ばされたものにより車が破損した場合
3等級ダウン事故
3等級ダウン事故とは、翌年度の等級が、事故1件に対して3等級下がる事故を指します。
3等級ダウン事故は、主に他者に損害を与えたり、自分の車が破損したりした場合に該当します。注意したいのは、自然災害やいたずらによる車の破損では1等級ダウン事故と判断されますが、「当て逃げにあって車が破損し、車両保険を利用した場合」のように、本人にまったく過失がない事例も、3等級ダウン事故として扱われることです。
このように「自分に過失がない=等級が下がらない」というわけではないことを理解しておきましょう。
3等級ダウン事故は、1等級ダウン事故やノーカウント事故(等級が下がらない事故)に当てはまらない、すべての保険事故が該当します。ノーカウント事故については、次の章で詳しく説明します。
3等級ダウン事故の具体例は以下の通りです。
- ・人身事故を起こし、対人賠償保険を利用した場合
- ・車両を建物などにぶつけ、車両保険を利用した場合
- ・車両で他者のものや車を壊し、対物賠償保険を利用した場合
- ・当て逃げにあって車が破損し、車両保険を利用した場合
事故で自動車保険を使用しても等級が下がらない場合もある
事故のなかには、自動車保険を使用しても等級が下がらない「ノーカウント事故」というものもあります。ノーカウント事故は、特定の補償の対象となっている事故が該当します。以下は、ノーカウント事故の対象となる補償の例です。
- ・ファミリーバイク特約
- ・弁護士費用特約
- ・個人賠償責任特約
- ・保険車傷害特約
- ・ロードアシスタンス特約
- ・人身車外補償特約
- ・自転車障害特約
- ・搭乗者傷害特約
- ・車両無過失事故に関する特約 など
※保険会社によって名称や取り扱いが異なります。一例として参考にしてださい。
事故の有無によって保険料の割引増率が変わる
等級ごとの保険料に対する割引増率は、下の表で示した「等級別の割増引率比較表」を基に決定されます。これを見ると、同じ等級でも、無事故と事故有とでは、割引率に大きな差が出ることがわかります。
<事故有無の等級別割増引率比較>
等級 | 無事故 | 事故有 |
---|---|---|
1 | 64%割増 | |
2 | 28%割増 | |
3 | 12%割増 | |
4 | 2%割引 | |
5 | 13%割引 | |
6 | 19%割引 | |
7 | 30%割引 | 20%割引 |
8 | 40%割引 | 21%割引 |
9 | 43%割引 | 22%割引 |
10 | 45%割引 | 23%割引 |
11 | 47%割引 | 25%割引 |
12 | 48%割引 | 27%割引 |
13 | 49%割引 | 29%割引 |
14 | 59%割引 | 31%割引 |
15 | 51%割引 | 33%割引 |
16 | 52%割引 | 36%割引 |
17 | 53%割引 | 38%割引 |
18 | 54%割引 | 40%割引 |
19 | 55%割引 | 42%割引 |
20 | 63%割引 | 44%割引 |
もし3等級ダウン事故を起こした場合、翌年度から3年間は「事故有係数適用期間」が適用されます。適用期間中は、「事故有」の割引率が適用されることになります。つまり、3年間は、無事故の人と同じ等級であっても、より低い割引率が適用されることになるのです。
3等級ダウン事故
3等級ダウン事故は、事故発生の翌年度から3等級下がる事故を指します。
例えば、無事故16等級の運転者が3等級ダウン事故を起こした場合、事故発生の翌年度の等級は、13等級に下がります。
その後、「事故あり係数適用期間」である3年間に事故を起こさなければ、毎年1等級ずつアップし、4年目には、元の状態(無事故16等級)に戻るしくみです。
事故発生 | 事故有の等級継続期間(3年) | - | |||
---|---|---|---|---|---|
事故の次年度 | 2年目 | 3年目 | |||
等級 | 無事故 16等級 |
事故有 13等級 |
事故有 14等級 |
事故有 15等級 |
無事故 16等級 |
割引率 | 52%割引 | 29%割引 | 31%割引 | 33%割引 | 52%割引 |
1等級ダウン事故
1等級ダウン事故は、事故発生の翌年度から1等級下がる事故のことです。 例えば、無事故16等級のドライバーが1等級ダウン事故を起こした場合、事故有係数適用期間は1年間継続します。事故発生の翌年度の等級は15等級となり、その後1年間事故を起こさなければ、2年目には元の状態(無事故16等級)に戻ります。
事故発生 | 事故有の等級継続期間(1年) | - | |
---|---|---|---|
事故の次年度 | |||
等級 | 無事故 16等級 |
事故有 15等級 |
無事故 16等級 |
割引率 | 52%割引 | 33%割引 | 52%割引 |
等級ダウンの事故を2回以上起こしてしまったとき
等級ダウン事故を複数回繰り返すと、その分事故有係数適用期間が長くなります。 以下は、16等級の方が3等級ダウン事故を起こし、その3年後に再び3等級ダウン事故を起こした場合の等級と割引率、事故有係数適用期間です。
事故有の等級継続期間(計6年) | - | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
事故の翌年度 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | |||
事故の発生 | 1回目 | - | - | 2回目 | - | - | - | |
等級 | 無事故16等級 | 事故有13等級 | 事故有14等級 | 事故有15等級 | 事故有12等級 | 事故有13等級 | 事故有14等級 | 無事故15等級 |
割引率 | 52%割引 | 29%割引 | 31%割引 | 25%割引 | 27%割引 | 29%割引 | 31%割引 | 51%割引 |
表のように、3等級ダウン事故を2回起こすと、事故有係数適用期間は合計で6年間となります。
1回目の3等級ダウン事故を起こした年度の翌年度に等級が13等級に下がり、その翌年度から等級は再び1年に1つずつアップします。
ところが、事故の翌年度から3年目に起こした2回目の事故により、再度3等級ダウンとなったため、結果的に12等級まで下がることになります。
等級が大幅にダウンするため、保険料の割引率が大幅に下がることがわかります。
事故を起こしても等級を下げない方法
3等級ダウン事故・1等級ダウン事故を起こしても、自動車保険を使用しなければ等級が下がることはありません。とはいえ、甚大な損害が発生する事故では保険を使わざるを得ません。
保険を使用するかどうかの考え方としては、等級ダウンによって保険料が上がることと、実損に対する支払額との比較です。もしも後者の方が負担は少なければ、保険を使用しないほうがお得、ということになります。
以下、16等級の契約者が3等級ダウン事故を起こしたケースを例に「事故に保険を使用しない場合」「事故に保険を使用する場合」それぞれの割引率を比較します。
事故に保険を使用しない場合 | 事故に保険を使用する場合 | |||
---|---|---|---|---|
事故発生 | 無事故16等級 | 52%割引 | 無事故16等級 | 52%割引 |
次年度 | 無事故17等級 | 53%割引 | 無事故13等級 | 29%割引 |
2年目 | 無事故 | 54%割引 | 事故有 | 31%割引 |
上の表を見ると「事故に保険を使用する場合」は、等級が下がるため保険料の割引率が大きく下がることがわかります。つまり、「事故に保険を使用しない場合」よりも高額な保険料となるのです。
例えば、事故による車の破損が軽微なものであれば、保険を使わず自己負担(自費で処理)で修理をしたほうがトータルの出費を抑えられる、というケースもあるでしょう。
自動車保険に加入していると、事故が起きた際すぐに「保険でカバーしよう」と考えがちですが、「余分に払うことになる保険料」と「車の修理費など」をよく比較したうえで、より安く済むほうを選択すると、事故による出費の合計を抑えられるでしょう。
まとめ
自動車保険の等級は、等級ダウン事故を起こし、保険を利用した際にはじめて下がります。つまり、事故を起こすと自動的に下がる、というものではありません。
事故の種類に応じて1等級もしくは3等級ダウンし、保険料の割引率が下がる、もしくは割増率が適用されるため、保険料が高くなります。事故発生時には、車の修理費等と等級ダウンによる保険料アップを加味して、本当に保険を使うかべきかどうかを検討するとよいでしょう。
※上記は概要を説明したものです。引受保険会社により、商品名や補償内容等は異なりますので、ご契約にあたっては必ず「各社商品パンフレット」および「重要事項のご説明・契約概要のご説明・注意喚起情報のご説明」をあわせてご覧ください。
また、詳しくは「ご契約のしおり(普通保険約款・特約)」等をご用意していますので、取扱代理店または引受保険会社までご請求ください。ご不明な点につきましては、取扱代理店または引受保険会社までお問合わせください。
- ※自動車保険に加入中の方は保険証券・免許証を、未加入の方は車検証・免許証をご用意ください。
- ※現在の保険契約の満期日まで、1日以上90日未満の方が見積もり依頼の対象です。
- ※お取り扱いできない契約もございます。詳細はページ下部をご確認ください。
- ※法人・営業用はこちら/バイク保険はこちら
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