日本の住宅が目指すべき姿 「ゼロ・エネルギー・ハウス」「LCCM住宅」の普及が始まる

ガイド:船木 麻里

エネルギー消費やCO2(二酸化炭素)排出の軽減を目指した住宅の省エネ化が進む中、その実現が目標とされているのが「ゼロ・エネルギー・ハウス」や「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅」です。年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロになるゼロ・エネルギー・ハウスは、国による支援事業が積極的に行われるなど、すでに広く普及しています。一方、CO2排出の削減を目的としているのがLCCM住宅。現在、認定されている住宅はまだ全国でも数十軒のみですが、国がその必要性を強力に訴えている状況を考えると、今後、急速に研究・開発が進むことが予想されます。

国が推進する住宅の省エネ化において、目指すべき形として掲げられているのが「ゼロ・エネルギー・ハウス」と「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅」。これらがどのような住宅なのかを解説していきます。

ゼロ・エネルギー・ハウスのイメージ写真

住宅のエネルギー消費を正味ゼロにする「ゼロ・エネルギー・ハウス」

エネルギー消費やCO2(二酸化炭素)排出を抑えた、地球にやさしい家づくりが注目されています。中でも官民が揃って推進しているのが「ゼロ・エネルギー・ハウス」の普及です。国は、2020年にはゼロ・エネルギー・ハウスを標準的な新築住宅とすることを目標とし、その必要性を訴えています。

「ゼロ・エネルギー・ハウス」とは、住宅が消費する一次エネルギーが、年間で正味ゼロまたはおおむねゼロになる住宅のことです。電気、ガス、石油などの使用によって消費されるエネルギー量を抑えつつ、太陽光発電などによってエネルギーを創出。最終的にエネルギー消費を差し引きゼロにする仕組みです。

ゼロ・エネルギー・ハウスの仕組み

国からの支援事業などが行われているため、ハウスメーカーのゼロ・エネルギー・ハウス推進も盛ん。例えばセキスイハイム(積水化学工業株式会社 住宅カンパニー)は、1997年以降、太陽光発電システムや家庭内消費エネルギーの節約・管理を実現する「HEMS」の導入など、住宅の省エネ化を積極的に進めています。

同社が2015年2月に発表した「太陽光発電システム搭載住宅の電力量収支実邸調査(2014)」によると、同社が展開する「HEMS設置(オール電化)+太陽光発電システム搭載」住宅(2013年1月~12月入居、全3,545邸)のうち、約66%がゼロ・エネルギー・ハウスであることがわかりました。

また、国が2014年春に行った「住宅のゼロ・エネルギー化推進事業」の補助金支援募集では、応募が2,000戸を超えたと言われています。

CO2排出を抑える「LCCM住宅」の研究・普及も始まる

「LCCM住宅」は、エネルギー消費を抑えるだけでなく、CO2排出を減らすことに重点をおいた住宅です。「住宅そのもののライフサイクル」全体でCO2排出の削減を目指しているのが特徴で、建築から解体までに使用する資材や建築技術などを工夫し、住めば住むほど最終的なCO2排出量を減らすことができます。

ただし、LCCM住宅の普及はまだ始まったばかり。2011年を皮切りに国土交通省で研究が進められ、2012年にLCCM住宅認定第1号が誕生したというところです。現在、LCCM住宅として認定されている住宅は、全国でまだ43軒にすぎません(2015年5月、ウェブクルー調べ)。

また、LCCM住宅には、「騒音を起こさない」「景観を乱さない」など、住宅内だけでなく周辺の環境へも配慮し、建物の品質を総合的に上げていくことが求められています。これまでの省エネ住宅に比べて、あらゆる面で高いレベルを実現しなければならない新しい住宅の形と言えるでしょう。

LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅のCO2排出量

認定「LCCM住宅」の3分の1を占める「木造ドミノ住宅」

現在、「LCCM住宅」として認定されている43軒のうち、16軒を占めるのが、相羽建設が提案する「木造ドミノ住宅」です。この住宅の特徴は、外周壁と床面の強度を上げることで、構造上必要な室内の柱を大黒柱1~2本に抑えていること。

住宅内はがらんどうの空間となり、将来の間取り変更やメンテナンスを比較的容易に行うことができます。また、資材には、耐久性が高く、輸送コストを抑えられる東京の木を使用しています。

相羽建設の広報・吉川碧さんは「エネルギーは目には見えにくいもの。今後も、より多くの方に、LCCM住宅のことや、30年先のことを考えた家づくりの価値観を、わかりやすく伝えられるように取り組んでいきたいです」と語ります。

木造ドミノ住宅のイメージ写真

「木造ドミノ住宅」について詳しく見る

住宅の省エネ化は、地球にやさしいだけでなく、光熱費などの費用を抑えられるのが嬉しいところ。また、住宅内の温度を一定に保ってシックハウス症候群を防ぐ、断熱材の使用で結露による細菌の発生を防ぐといった、健康的な暮らしを支えてくれるというメリットもあります。今後、ますます注目されていくことでしょう。

2015年6月15日掲載

ガイドプロフィール
船木 麻里(ふなき・まり)
家事セラピスト、整理収納アドバイザー、フリー編集者/ライター

出版社勤務を経て、出産を機に独立。雑誌、書籍等で教育や家庭生活をテーマに幅広く取材、執筆。家事セラピストとして、自分らしく気持ちのいい暮らし方を提案。「引越し9回&立ち退き2回」の経験から引越しにも一家言あり。

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