ご近所トラブル発生!マナーの先生が教える、
ご近所からクレームを受けたときの解決方法とマナー

ガイド:尾形 圭子

自分では大したことではないと思っていても、ほかの人もそう思っているとは限りません。人によっては、とても不快に感じていることもあるのです。自分と他人では、同じことでも感じ方が違うことを認識してください。クレームを受けたときは冷静に対処し、事実であればきちんと謝罪して対策をしましょう。事実の確認ができない場合、その場は限定的な謝罪をし、あとで事実関係を確認して話し合いの場を持ってください。

ご近所から突然クレームが! そんなご近所トラブルの対応について、マナーの講師をされている株式会社ヒューマンディスカバリーの代表取締役・尾形圭子さんにお話をおうかがいしました。

クレームが起こってしまう原因

ご近所付き合いを友好的に行うために、そもそもなぜクレームが起きるのかという部分から考えてみましょう。

クレームを受けたときの考え方について教えてください。

クレームについて重要なのが、人それぞれに感じ方が違うということです。自分は大したことがないと思っていることでも、相手にはそれが不快なことだったりします。そういった認識の差がクレームに結びついています。だから、きつい口調でクレームを言われてカッとなっても、その場はガマンして、そう感じる人がいるのだと考えましょう。クレームを言ってきた相手に対して「神経質すぎる」などと言い返し、拒絶するような態度をとると、対立して、かえって問題の解決が困難になってしまいます。

また、クレームには「あの人が嫌い」という感情が根本に潜んでいることがあります。挨拶をしていなかったり、ちょっと不快な態度をとったりなど、ほんの些細な出来事の負の感情が時間とともに大きくなっていることがあるのです。そういった場合、クレームの原因自体は大したことではなくても、クレームへつながってしまいます。だから、クレームを機に、ふだんの自分の行動や接し方などを思い出して、問題がなかったか振り返ってみてもいいでしょう。

クレームを受けたときの対処法

まったく身に覚えがなくても「そんなことはない」と拒絶するような態度をとると、相手がさらに怒ってしまい、対立する原因になります。

クレームを受けたら、まず何をすればいいでしょうか?

あとから自分が原因だと判明した場合、相手の怒りを静めるために何度も謝る羽目になります。そこで、事実関係については謝罪せず、相手の感情に対して謝罪する「限定的な謝罪」をしましょう。

例:
「いま、はっきりと確認できないのですが、うちが原因だとしたら、ご不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。子供が戻りましたら確認しますので、のちほどうかがってもよろしいですか?」

謝罪するのは、クレームの内容ではなく、相手が不快に感じた気持ちに対してです。事実関係がはっきりしない段階で「〇〇のせいで本当に申し訳ありません」と全面的に謝罪をするのは時期尚早です。後々、謝罪したことを理由に、自分が不利になる可能性があります。限定的とはいえ、謝意を伝えることは、相手の気持ちを静めることができます。

また、限定的な謝罪とともに、事実関係を確認した結果をお伝えする日にちを決めると、誠実に対応している印象を相手に与えます。さらに「日曜日のお昼ごろにお伺いしたいと思いますが、その時間にいらっしゃいますか」と時間まで決めることができると、より良い印象を与えられます。

そして、もっとも重要なのがクレームの事実確認です。クレームの内容が事実であれば、きちんと謝罪する必要があります。ところが、クレームの原因が子供だったとき、確認しようにも、子供は怒られるのを嫌がって嘘をつくことがあります。最初から子供に対して怒った態度をとらず、さりげなく聞き出すなどの工夫が必要です。

自分が原因ではないクレームにはどうすればいいでしょうか?

例えば「騒音がひどい」というクレームがあったものの、その時間は仕事で不在にしていた、というように、まったく身に覚えがない、自分に原因がないことがはっきりしている場合は、その旨を伝えましょう。ただ、言い方には工夫が必要です。相手の事実誤認だからと、それを責めるような態度は禁物です。優しく、具体的に自分ではないことを伝えましょう。

例:
「私は、○時から○時は仕事で出かけていて、不在にしているので、うちが原因ではないと思います。このマンションは音が響きますので、ほかのお宅が原因かもしれません。管理人さんに確かめていただけないでしょうか」

言いがかりをつけられた、とばかりに強い態度で対応してしまうと、また違う怒りをかってしまう可能性があります。相手に非があっても、冷静で丁寧な態度を崩さないようにしてください。

自分に原因あるときの謝り方を教えてください。

身に覚えがあるときは、誠心誠意、心を込めて謝りましょう。謝罪の意思を伝え、相手が不快に思う事態が起こった原因とその対策についても話してください。ただ謝罪するだけでは、また同じことが起こるのでは、と思われてしまいます。相手宅にうかがうときには、お詫びの気持ちを表すため、菓子折りなどを持って行くことをおすすめします。

例:
「申し訳ありませんでした。ここ数日、親戚の子供が泊まりに来ておりまして、夜遅くまではしゃいでいたので、その音が伝わってしまったのだと思います。これからは、子供によく言って、気をつけるようにします」

また、再度同じクレームをつけられないように対策をしましょう。特に、子供が原因の騒音の場合、どんなにきつく叱っても、同じことを繰り返してしまうことがあります。防音マットなど、子供用の防音グッズが豊富にあるので、そういったものも活用してください。

難しいクレームへの対処法

そもそも、クレームが長時間にならないようにすることが大切です。人間の脳は、どんなに怒っていても、怒りを20分以上も持続できないといわれています。

クレームが長時間になったときはどうすればいいですか?

クレームの最中に、相手がイラッと感じるような態度や言葉があると、そこから新しい怒りが湧いてしまうそうです。延々と怒り続けている人は、新しい怒りの原因によって、怒りを持続しているのです。つまり、相手をイラッとさせなければ、どんなに長くても、クレームは20分くらいで終わります。

相手をイラッとさせないためにも、自分は感情的にならないように努めて、話をさえぎることなくすべて喋らせ、事実関係がはっきりしなければ限定的な謝罪をしましょう。さらに内容を復唱確認したあとは、「ちょっと確認する時間をいただけますか」とお願いして、時間を置くようにすれば、クレームが長時間にわたることはないでしょう。

クレームがこじれてしまったらどうしたらいいでしょうか?

どんなにきちんと対応していても、相手がまったく受け入れてくれなくて、何度も話し合いを重ねても平行線だった場合は、第三者を入れるべきです。クレームの原因が自分にあったとしても、相手の要求が過剰であったり、興奮して話し合いが成立しないような場合は、第三者を入れて、お互いに冷静に話し合えるようにするしかありません。一戸建ての場合は自治会、集合住宅であれば大家さんや管理会社にお願いしましょう。

最初からけんか腰の人にはどうすればいいでしょうか?

激高していて、つかみかかってくるほどの勢いだったときは、自分に原因があっても警察を呼んでしまってもいいでしょう。普通に怒っている程度なら、これまで紹介したような対応で十分だと思います。

相手が怒鳴っているようなときは、ファミリーレストランや喫茶店などに場所を変えて、話を聞くといいでしょう。人は、立ったままだと興奮が静まらないので、イスに座ってもらうことで気分を落ち着かせられます。また、周りに人がいる環境では大声を出しにくいので、冷静に話し合うことができるのです。場所を移動するのが難しい場合は、座布団などを用意して、玄関に座ってもらってもいいでしょう。

クレームが起こらないようにするには

そもそもクレームが起こらないようにできれば、余計な考え事をしなくて済みます。上手にご近所付き合いを続けるコツはあるのでしょうか?

どうすればクレームが起こりにくくできるでしょうか?

・笑顔と挨拶を心がける
ふだんからきちんと挨拶をして、笑顔で対応できる人は、めったにクレームを受けることがありません。そういった人は、誰もが話しかけやすいので、もし迷惑になるような騒音を起こしてしまったとしても、「最近うるさいですよ、どうかしました?」と、クレームになる前段階で、友好的な注意をされるのです。まずは、周りの人に、プラスの感情を与える人になるように努めましょう。

・井戸端会議は短時間で切り上げる
主婦の場合は、井戸端会議に長時間参加しないように気をつけましょう。井戸端会議は、情報源として助かることもありますが、長時間になると話題が悪口に移っていくことが多いのです。悪口に参加すると、自分が何も言っていなかったとしても、相槌やうなづきだけで悪口を言ったことになってしまいます。

また、仲が良くなりすぎるのも問題で、顔見知り程度の関係であれば冷静に対応できることも、関係を崩さないようにと我慢してしまい、爆発してしまうこともあるようです。このように感情的になると収拾がつかず、また、井戸端会議のつながりから、自分の悪口を周りに言いふらされて孤立してしまうことも考えられるのです。

だからといって、井戸端会議にまったく参加しないと、愛想が悪いと思われてしまうので、短い時間だけ参加しましょう。参加したら、ころあいを見て「食事の準備があるので」「そろそろ出かけなきゃいけないので」など適当に理由をつけて切り上げてください。話題は、お天気、食べもの、メイクなど無難なものがおすすめです。

友人関係は、トラブルになると深刻な事態につながる近所ではなく、家からは離れた、趣味の集まりなどで築けばいいのです。

・地区の行事には積極的に参加する
井戸端会議などの近所づきあいが淡白になってしまう分、地区の行事には積極的に参加しましょう。ゴミ拾いや運動会など、面倒でも一生懸命にやれば、近所づきあいが深くなくても、自分の評判を落とすことはありません。ただ、役員などに選ばれてしまうと、深いつきあいを求められることになりますが、それは誰しも順に担当することです。ボランティア精神で割り切って務めるようにしましょう。

■マナーの先生が教える「引越しの挨拶とマナー」
マナーの先生が教える、引越しの挨拶の方法とマナー
マナーの先生が教える、近所にクレームを言うときの方法とマナー
マナーの先生が教える、ご近所からクレームを受けたときの解決方法とマナー



2016年6月24日掲載

2020年9月18日更新

ガイドプロフィール
尾形 圭子(おがた・けいこ)
戦略的マナー講師、キャリアコンサルタント、僧侶

株式会社ヒューマンディスカバリー 代表取締役。航空会社、大手書店、一流ブランドメーカーなどで接客及び人材育成部門に勤務。その経験を活かし、2000年に独立。電話応対、接客応対などの教育指導で高い評価を受けている。著書は20冊以上。雑誌への寄稿、テレビ・ラジオなどメディアへの出演も多数。

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