熱帯魚・海水魚と水槽を引越しで運ぶ方法と注意点

ガイド:吉田 章

引越しで最も気を遣うのが、動物の運搬です。犬や猫であれば、自分で運ぶのもそれほど大変ではありません。ところが、熱帯魚や海水魚は、ちょっとしたストレスが深刻なダメージになるため、引越し前からさまざまな準備を必要とします。万全に進めるのであれば、1ヵ月前から水の変化に慣れさせなくてはなりません。それ以外にも運搬中の準備、引越し後の水槽の立ち上げなど多くの作業があります。無事に熱帯魚・海水魚の引越しを終わらせるため、慎重に進めていきましょう。

熱帯魚や海水魚といった水棲生物は、ほとんどの引越し業者で導入されている標準引越運送約款にて引受けを拒絶することがあるとされています。実際に水棲生物を同時に輸送してくれる引越し業者はほとんど存在しないので、レンタカーなどを利用して自分で運ぶか、専門の業者への依頼が必要です。熱帯魚や海水魚を引越し先へ運ぶための方法と注意点について紹介します。

熱帯魚

【引越し前】熱帯魚・海水魚・水槽を運ぶ前に準備すること

引越しの1ヵ月ほど前から、熱帯魚や海水魚に新しい水に慣れさせておきましょう。引越し後の水槽に入っている新しい水は、熱帯魚や海水魚にとって、大きなストレスになります。

【1ヵ月前】熱帯魚・海水魚を水換えに慣れさせる

特に、水換えのペースが月に一度かそれ以下の場合は、熱帯魚や海水魚は水換えに慣れておらず、新しい水に大きなストレスを感じます。少しでも引越し後のストレスを軽減させるために、引越しの1ヵ月ほど前から毎週水換えを行い、水換えに慣れさせておきましょう。

【1週間前】熱帯魚・海水魚を常温に慣れさせる

引越しで運搬している間は、ヒーターなどによる水温調整ができないので、常温に近い水温に熱帯魚や海水魚を1週間ほど前から慣らしておきます。

多くの熱帯魚や海水魚は、ヒーターやクーラーなどで水温管理をしていると思います。しかし、運搬中はヒーターやクーラーを使うことができないので、厳密な水温管理ができません。急激な水温の変化は、熱帯魚や海水魚に強いストレスを与える可能性があります。そのため、引越しの1週間ほど前から出力を下げて、徐々に水温を常温に近づけます。常温とまったく同じ温度にする必要はなく、最終的に2~3度も水温が変わればそれで十分です。

【2~3日前】熱帯魚や海水魚を絶食させる

引越しで熱帯魚や海水魚を運ぶときは、2~3日前からエサをあげる量を徐々に減らしていきます。引越しをしているとき、熱帯魚や海水魚は、水槽よりもはるかに狭いビニール袋で梱包されます。こういった狭い環境では、熱帯魚や海水魚のした糞が著しく水質を悪化させてしまいます。

狭い環境での著しい水質の悪化は、熱帯魚や海水魚に大きなストレスを与えます。そのため、引越しの2~3日前から与えるエサの量を減らしてゆき、前日には絶食させます。2~3日程度であれば、熱帯魚や海水魚は、エサを食べなくても問題ありません。

【引越し直前】熱帯魚・海水魚・水槽を運ぶ前に用意するものと注意点

自分で熱帯魚や海水魚を運搬するときは、次のものが必要です。

引越しの前に用意するもの

これ以外にも、水温管理のために、夏であれば保冷材、冬であれば使い捨てカイロも用意しておきます。

  • ■熱帯魚・海水魚を運ぶときに必要なもの
  • ・丈夫なビニール袋
  • ・輪ゴム
  • ・酸素スプレー
  • ・緩衝材(気泡緩衝材または新聞紙)
  • ・クーラーボックス(または発泡スチロールの箱)
  • ・ポリタンク

ほかにも、作業には日頃からメンテナンスに使用している道具が必要です。ほかの引越しの荷物と一緒に梱包しないように注意してください。

また、熱帯魚や海水魚の運搬は、引越し業者は請け負ってくれないのが一般的です。自分で運搬することになるので、車を持っていない場合は、事前にレンタカーの予約をしておきましょう。レンタカーを利用するのであれば、バンやライトバンのように、荷物の載せ降ろしが楽なタイプの車がおすすめです。

熱帯魚・海水魚の引越しは人間とタイミングを分ける

熱帯魚や海水魚の引越しは、人間の引越しと違う日に行うことをおすすめします。熱帯魚や海水魚を新居へと運び込んだら、急いで水槽のセッティングを行わねばならず、通常の引越し作業をしている余裕はありません。また、水槽の作業を行いたくても、次々と荷物が運び込まれている状況では、スムーズに進められないでしょう。慣れていれば水槽のセッティングには3時間ほどでできますが、慌しく引越しの作業をしている中では困難です。

熱帯魚や海水魚の引越しは、人間の引越しがひと段落してから行いましょう。新居や旧居が賃貸住宅の場合は、数日ほど余計に家賃がかかってしまいますが、熱帯魚や海水魚を安全に運ぶためには必要な経費です。新居が片付き、水槽を設置する場所や電源を確保したら、いよいよ熱帯魚や海水魚の引越しに取りかかります。

【引越し当日】引越しで熱帯魚・海水魚・水槽を運ぶ方法

飼育しているのが金魚鉢のような小さな水槽で、移動時間が数十分とごく短時間であれば、携帯用エアレーションで酸素を送り続けることで、魚を水槽に入れたまま運ぶことが可能です。ただし、運搬中に水がこぼれたりしないよう、十分な注意が必要です。

熱帯魚や海水魚を梱包する

水換えと同じ要領で、水槽の2分の1ほどの水を汲んでポリタンクに入れます。この水は、新居で水槽を立ち上げる(水質の安定化)ときに使用するので、水槽の水をすべて捨てないように気をつけてください。

水槽の水が少なくなったら、水槽の水を入れたビニール袋に熱帯魚や海水魚を入れます。ビニール袋ごとに品種を揃えてまとめましょう。

熱帯魚や海水魚を入れたビニール袋から空気を抜いたら、酸素スプレーで酸素を充填します。運搬の時間が1時間程度であれば酸素を入れなくても大丈夫ですが、そのときは水を多めに入れておきましょう。ビニール袋の口を輪ゴムでしっかりと閉じたら、万が一、ビニール袋が破れても大丈夫なように、さらにビニール袋へ入れて二重にします。

ビニール袋へ熱帯魚や海水魚を入れたら、さらに新聞紙やタオルで包み、クーラーボックスや発泡スチロールの箱へ詰めます。引っ越す季節が夏ならタオルで包んだ保冷材を、冬ならタオルで包んだ使い捨てカイロを箱のすみへ入れて水温の調節をしましょう。使い捨てカイロは、発熱に新鮮な空気を必要とするので、クーラーボックスなら水抜栓を開け、発泡スチロールの箱なら空気穴をキリなどで開けてください。

引越しで水槽と周辺機器を運ぶ方法

引越しで水槽を運ぶときは、水槽の破損はもちろんのこと、水槽内が乾燥しないように気をつけましょう。まず、水槽から可能な限り水を抜き出します。ただ、底砂は取り出さずに、水槽内に敷いたままにしておきます。水草なども水槽に入れたままで構いません。ただし、水草が乾燥しないように、水でぬらしたキッチンペーパーや新聞紙を上から覆い被せておきます。流木など、運搬しているときに動いて水槽を壊す恐れのあるものは取り出し、水を切ってビニール袋に入れておきます。

一通りの処置が終わったら、水槽の開口部をラップで覆います。これは、運搬中に水槽から砂などが飛び出すのを防ぐだけでなく、水槽内が乾燥するのを予防しています。水槽にラップをかけたら、毛布や気泡緩衝材(いわゆるプチプチ)で包みます。

濾過器は、フィルター部に溜まった水をすべて捨ててから、気泡緩衝材などで包んで保護します。フィルターに培養したバクテリア(水質を安定させる)を保護するには、水を溜めたままの方がいいように思えます。しかし、実際は逆で、流れを失った水はすぐに水質が悪化し、バクテリアを殺してしまいます。水がなくても、バクテリアは残った水分と湿度により1日程度ならば死にません。

移動に1日以上の時間がかかる場合は、バクテリアを乾燥から守らなくてはなりません。濾過器からフィルターを取り出し、水槽から抜いた水を張った小型水槽やバケツに入れ、携行型のエアレーションで酸素を与えながら運びましょう。

ライトやヒーターは、水気を切ったのち、破損しないよう気泡緩衝材や新聞紙で包み、ダンボール箱に入れて保管しましょう。

【引越し後】引越しで運んだ熱帯魚・海水魚・水槽を処置の仕方

熱帯魚や海水魚を水槽に解放する前に、必ずビニール袋を水槽に浮かべて、水温あわせを行ってください。水槽に熱帯魚や海水魚を解放したとしても、ストレスで弱っているので、引越し当日のエサは控えます。その後も、熱帯魚や海水魚が元気を取り戻すまで、エサの量を控えめにしてください。

引越し先で水槽を立ち上げる

新居へ水槽と熱帯魚と海水魚が到着したら、ポリタンクに入っている水槽の水を使って、水槽の立ち上げを行います。要領は、水換えと同じです。ポリタンクの水を水槽に入れ、各種の中和剤(海水魚なら人工海水の元)を入れた水道水で補充します。海水の場合は、比重の確認も行います。

もし、元の水槽の水を運べなかった場合は、ゼロから水槽を立ち上げる時間はないので、熱帯魚や海水魚を扱うペットショップから水を購入するか、分けてもらって対処しましょう。

2017年2月3日掲載

2020年9月18日更新

引越し見積もりを複数社へ依頼

1回の入力で最大12社に一括見積もり!
引越し業者と直接相談・交渉することで、一番安い引越し業者が見つかる!

ライフラインの手続きを依頼

「Smyb引越し手続き」は、電気・ガス・水道などの手続きが一括でできる!
引越し手続きをまとめてカンタンに!

無料 一括手続きを依頼する
ガイドプロフィール
吉田 章(よしだ・あきら)
株式会社ウェブクルー 引越し関連サイト 営業担当

株式会社ウェブクルーが運営する引越し関連サイトの営業担当者。引越しに関する造詣の深さを活かし、営業担当として活躍中。

このページを読んだ人は次のページも読んでいます

不用品・粗大ごみを上手に処分する方法

市区町村の窓口に連絡して回収業者に来てもらう、というのが一般的な流れですが、実は引越し業者の中には、粗大ゴミの回収を行ってくれる会社も。

こうした知識の有無は、掛かるコストや手間に直結します。そこで本記事では、引越しで粗大ゴミを処分する際に知っておきたい、基本的な知識を解説したいと思います。

続きを読む

そのほかのおすすめコンテンツ

荷造りと不用品・廃棄物の処分 のほかのカテゴリ

注目のタグ一覧

引越し前 引越し直前 引越し後 申請・変更 疑問・解決 基礎知識 お得情報 マナー 引越し業者 引越しプラン サービス 注意事項 防犯・防災 子供
ページトップ