引越しの荷造りは「使わないものから」が鉄則

ガイド:吉田 章


引越し業者に依頼する際、荷造りについて判断に迷ってしまう人は少なくありません。

梱包から業者に任せることはできないのか。自分でやる場合、いつから荷造りを始めるべきなのか。段ボールは自分で用意すべきなのか…。あまり頻繁に経験するものではありませんし、これまでに選んだ引越し業者によっても対応が違っているはずです。意識して情報を集めようとしない限り、曖昧な部分が多くなってしまうのは仕方のないことでしょう。

そこで本記事では、引越し時の荷造りに関して押さえておきたい知識を、網羅的に解説してみたいと思います。

多忙な場合はお任せプランのある引越し業者を使う

引越しの際の荷造りは、契約した業者から提供してもらった段ボールを使い、利用者側で行うのが一般的です。ただ、量が多いと相応に時間が掛かりますから、多忙だったり手間を掛けたくなかったりする利用者向けに、お任せプランを用意している引越し業者も少なくありません。

具体的な名称は業者により異なりますが、お任せプランでは荷造りから大型家具・家電の梱包、セッティングから荷解き・片付け、資材回収までをワンストップで丸ごと任せることができます。

プランとして明示していないだけで、基本プランに荷造りや荷解き等をオプションで追加する、という形を取っている引越し業者もいます。もし荷造りに割く時間が取れないようであれば、そうしたお任せプラン、ないしオプションプランを用意している業者に依頼してみると良いでしょう。

そのぶん料金は高くつきますが、お金で時間を買うと考えれば、決して損ではないはずです。

荷造りの専門業者も検討の価値あり

デリケートな荷物が多いため丁寧に作業して欲しい、料金を安く抑えたい等、荷造りに対して柔軟に要望を出したい時は、引越し業者とは別に、荷造り・荷解きに特化したサービスを利用するのも手です。

専門的に請け負っているだけあって、作業品質が高く、また料金も良心的。不用品の処分や買取など、細かいオプションを用意しているところも多いです。引越し業者の中にもこうしたオプションを用意しているところはありますが、すべてではありません。

自身が選ぶ引越し業者の特性に合わせて、こうした専門業者に頼るのも、引越しを効率的にこなすための賢い選択と言えるでしょう。

遅くとも予定日一週間前には荷造りを始める

引越しの失敗談で少なくないのが、荷造りが間に合わなかった、というものです。

引越し経験の有無や荷物の量にもよりますが、一週間前後は余裕を見て、荷造りをスタートするのが無難でしょう。段ボールや緩衝材は、引越し業者が訪問見積もりに訪れた際に置いていってくれるのが一般的です。

そのため、業者選びも、引越し先が決まった段階で早めに始めておくことが大切。

また、荷造りは、ただ荷物を詰めるだけの作業ではありません。引越し当日を迎えるまで、最低限の生活ができるだけの設備や備品を残しながら、計画的に進めていく必要があります。

特に気をつけたいのが、冷蔵庫の中身です。冷凍食品や生ものなど、長時間常温で保存できないものが入っているなら、優先的に消費していきましょう。庫内が片付いたら、運搬中に水が漏れないように、水抜きや霜取りを忘れずに行うことも重要です。

霜取りは電源を抜いて15時間程度放置、水抜きは、蒸発皿タイプと排水口タイプで方法が違いますが、いずれの場合も水を捨てるだけですから、手順に迷うことはないでしょう。もしわからなければ、メーカーの公式サイトなどで製品の取説を参照してみてください。これは、洗濯機や加湿器といった、水を使う家電全般に言えることです。

また、段ボールに荷物を詰め込む際は、中に何が入っているのか、きちんとメモしておくことをおすすめします。搬入する際、作業員に指示が出しやすいですし、新居で開梱する際にも、目的のものをスムーズに探し出せるからです。

必要な数の段ボールを調達する方法を知っておく

引越し業者に問い合わせる際、最初に運搬する荷物の量を共有するのが一般的です。家具・家電といった大型荷物以外は段ボール換算で伝えることになりますから、念のため大まかな目安を覚えておくと良いでしょう。

一般的にはMサイズ(12センチ立法)で一人当たり10〜15箱程度が目安とされています。

段ボールは、訪問見積もり時に引越し業者から受け取ることが多いですが、万が一足りなくなった時のために、自身で調達する方法も知っておくことをおすすめします。段ボールは、楽天やアマゾンなどの大手ネット通販サイト、またはホームセンターなどで買い求めることができます。コンビニやスーパーで尋ねれば、使い古しのものを無料で譲ってもらうこともできます。

余談ですが、調達した段ボールを組み立てる際は、底にガムテープを貼っておくことも大切です。一本だけだと運搬中に底が抜けてしまう可能性がありますから、H字形や十字形にして、強度を高めておきましょう。

荷造りを始める前に、必要な道具を用意しておく

最低限、段ボールとガムテープがあれば荷造りはできます。ただ、気持ちよく作業を進めるためには、それなりに道具を用意しておくことをおすすめします。

たとえば、以下のようなものです。

新聞紙 ガラス皿等割れ物の緩衝材として使用。
ビニール袋 化粧品や歯ブラシ等の細々した品をまとめるために使用。
ビニール紐 解体したラックや物干し竿等をまとめるために使用。
マジック 段ボールにメモを書くために使用。
工具 家具・家電の解体に使用。
掃除道具 荷物の出し入れに伴う散らかり・汚れ対策に使用。
マスク ホコリ対策のために着用。
ゴミ袋 荷物を整理する際に出る不用品を処分するために使用。
軍手 手荒れやケガの防止に着用。

また、ガムテームは、手でちぎりやすい紙タイプがおすすめ。もし荷物に粘着跡が残るのを避けたい、というようであれば、養生テープを使うと良いでしょう。

あらかじめ引越し先のレイアウトを決めておく

荷物が少なければさほど問題にはなりませんが、家族で引越しをする場合などは、荷物の詰め方によってその後の開梱作業のしやすさが大きく変わってきます。

そのため荷造りの前に、何をどこに配置し、どう収納するのか、おおまかにでもレイアウトを決めておくことをおすすめします。そのレイアウトに沿って段ボールにメモをし、荷物をまとめていけば、運搬時の指示も搬入後の開梱も効率的にこなすことができるはずです。

また、レイアウトが決まったら、最終形をメモして取っておくと良いでしょう。引越しに伴って、大型の家具・家電を新調するケースは少なくありません。新生活を始めると、当初の予定になくとも古いものを一新したくなるものです。

室内の位置関係を一目で把握できる図面は、新しく物を購入する際に重宝するはずです。紙を取っておくのが煩わしいようであれば、スマートフォンで撮ってデータとして残しておいたり、間取りのシミュレーションアプリを使うという手もあります。

不用な大型荷物は処分ではなく売却

旧居で大型の家具・家電を処分して、新居で新しく購入する、というケースはよくあります。

ただ、自分たちにとっては処分対象でしかなくとも、世の中には必要としている人がいるものです。大型の荷物は処分するにも手間と時間が掛かりますが、同じくらいの負担で、不用品をお金に変えることができるかもしれません。

リサイクルショップが代表的な選択肢ですが、最近はフリマアプリの台頭もあって、個人間で直接かつ顔を合わせない形で物品を売買することも可能。スマートフォンだけで手軽に取引できますから、時間に余裕がある場合はそうしたサービスを利用してみるのも手です。

家具・家電に限らず、整理した不用品をまとめてセール価格で売れば、場合によっては引越し費用を相殺できるかもしれません。

ちなみに、引越し業者の中には、オプションでリサイクルサービスや処分代行サービスを用意しているところもあります。もし多忙で荷物整理に手間を掛けられない、というようであれば、こうした業者を選んでみるのも良いでしょう。

引越しの荷造りは玄関から遠い部屋、あまり使わない部屋から

引越し準備で最も手間がかかるのが荷造りです。スムーズに進めるためには、梱包の順番に気をつけること。特に日常的に使うものは引越しの終盤に詰めるか、手荷物として自分で運ぶことをおすすめします。まだ使う機会があるにもかかわらず、先に箱詰めしてしまうと、せっかく荷造りした段ボールを開けるはめになります。

荷造りは、玄関から一番遠い部屋や、あまり使っていない部屋から始めるのが基本。その後、リビング、キッチン、玄関へと進めていきます。これは、玄関に近い部屋の家財は、日常生活で利用される機会が多い傾向にあるから。また、玄関に近い部屋に引越し荷物があると、生活動線の邪魔になる恐れがあるからです。

それぞれの部屋ごとの荷造りは、すぐには使わない季節ものや使用頻度の少ないものから行っていきましょう。押入れや納戸には、長年しまい込んでいる荷物も少なくありません。引越しを機会に処分を考えてもいいでしょう。

雛人形やクリスマスツリーといったイベント時にしか使わないもの、ヒーターや扇風機など季節家電も早めに片付けておきます。ギリギリになって慌てないためには、引越し当日の1~2週間前からコツコツと荷造りしておくと良いでしょう。

荷物は、移動の邪魔にならない場所や空き部屋にまとめてください。引越作業時に使うものと、転居先ですぐ必要になるものは別にし、わかりやすいところに置いておくと作業がよりスムーズになります。

使用頻度と荷解きの手間を考えて効率的な荷造りを実現する

すぐには使わない品物を梱包し終えたら、次に「しばしば必要になるもの」「毎日使うもの」の順に進めていきましょう。リビングや寝室なら、壊れやすいインテリア雑貨やAV機器などを先に梱包します。次にタンスやクローゼット、本棚へ移り、使用頻度の少ない順から梱包してください。

衣類やバッグ、衣類小物などは、すぐ必要にならないオフシーズンのものから、早い段階で箱詰めします。キッチンでは乾物類や調味料、鍋などのキッチン用品から片付けていき、食器や刃物類、雑貨なども順に梱包してください。特に割れ物が多いので、新聞紙などの緩衝材を使ってしっかり保護します。

また、荷造りの注意点として、複数の部屋の荷物を、ひとつの段ボールに詰めないことも大切です。梱包が終わった段ボールの上部と側面には、どこの部屋の何を入れたか、油性マーカーで書いておきましょう。これで、新居への搬入や荷解きがスムーズに行えるようになります。

段ボールが足りない時は最悪ゴミ袋でも可

仕事の都合などでどうしても荷造りが間に合わない、という時は、とにかく運搬できる形に荷物をまとめてしまいましょう。

段ボールではなくとも、引越し業者のスタッフが容易に運搬でき、かつトラックに入れば、問題はありません。ウェブ上で確認できる口コミの中には、荷造りが間に合わず、片端からゴミ袋に詰め込んでことなきを得た、というような体験談も見つかります。

当日までに形を整えておかないと、引越し業者に梱包を手伝ってもらうことになり、そのぶん、費用が嵩むことに。それでも運搬できれば良いのですが、業者のスケジュールの都合によっては、積み残して別の配送手段を検討しなければならなくなる、ということも考えられます。

いずれにせよ、形に拘らず荷物をまとめておけば、多少なりとも選択肢が広がるはずです。

よくある荷造りの失敗談を知っておく

何事も、失敗を避けるためには先人の経験を参考にするのが効率的です。荷造りに関するよくある失敗を踏まえ、同じ轍を踏まないようにしましょう。

参考までに、荷造りのありがちな失敗を以下にまとめます。

  • 荷造りが間に合わず、ゴミ袋に荷物を詰め込むことになった。
  • 搬出が始まってから、押入れの中に梱包していない荷物を見つけた。
  • 冷蔵庫や洗濯機の水抜きを忘れ、運搬時にびしょびしょになってしまった。
  • いい加減に梱包したせいで、食器が割れてしまった。
  • タワーマンションのエレベーターの使用許可を忘れ、引越しを翌日に持ち越すことになった。
  • 段ボールのメモが曖昧すぎて、新生活初日に使うものがなかなか見つからなかった。
  • 大きな段ボールに詰められるだけ詰めたが、重すぎて持ち上げることができなかった。
  • 予定日直前に慌てて荷造りしたら、思いの外ゴミが出て処分に困った。
  • どんなに気をつけていても、人間はミスをしてしまうものです。とはいえ、知識が多い方が、いろいろなところに注意を向けられるはず。

    本記事の内容が、新生活をスマートにスタートさせる一助になれば幸いです。

使用頻度と荷解きの手間を考えて効率的な荷造りを実現する

2020年12月27日更新

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ガイドプロフィール
吉田 章(よしだ・あきら)
株式会社ウェブクルー 引越し関連サイト 営業担当

株式会社ウェブクルーが運営する引越し関連サイトの営業担当者。引越しに関する造詣の深さを活かし、営業担当として活躍中。

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