仏壇・神棚を引越しで持って行く手順と作法

ガイド:船木 麻里

日本人の多くは仏教徒であるといわれ、仏間に仏壇をおいている家もあります。仏壇は、ご先祖様や亡くなった家族を偲ぶ場でもあります。大切な仏壇を引越し先に運ぶときには、ほかの家具と同じように扱っていいものか迷うこともあるでしょう。宗派や地域によっても違いはありますが、仏壇を運ぶ際の一般的な作法もあります。菩提寺の住職に相談するなどして、仏壇の運び方を考えてみましょう。

仏壇は、亡くなったご家族やご先祖を偲び、教えを聞く場です。特に、古い家では仏壇が大切に扱われている傾向があります。引越しで運ぶときには、タンスやベッドなどの家具にはない、特別な作法が必要とされています。引越しで仏壇を運ぶときの作法について紹介します。

仏壇の引越し

仏壇を引越しで運ぶときの手順と作業

仏壇は、ご本尊、位牌(あるいは掛け軸)、香炉や燭台(ローソク立て)、花瓶、瓔珞(ようらく。飾り)等の仏具から構成されます。新しく仏壇を購入したときは、仏壇に菩提寺(檀家になっている寺)の住職からお勤め(お経を唱えること)をしていただき、「魂入れ」を行うのが慣習とされています。これは、宗派によって「開眼供養(かいげんくよう)」「芯入れ」とも呼ばれます。

引越しをする際にも作法があるとされています。まず旧居から運び出す前に「魂抜き」を行います。これも宗派によっては「閉眼供養」「芯抜き」とも呼ばれます。そして改めて新居に設置した後に「魂入れ」を行います。

ただし、宗派や地域によって、あるいは同じ宗派の住職でも考え方に違いがあります。「大切なのは、ご先祖様を敬う心」と考え、特別なことをしなくても新居に運ぶだけで良いと言う住職もいます。引越しの予定が決まったら、菩提寺の住職に相談してください。

仏壇を旧居から運び出す手順

仏壇を運び出す際の一般的な作法を解説します。まず旧居では、菩提寺の住職にお勤めを依頼し、お経を唱えてもらい、「魂抜き」を行います。これ以降、仏壇はほかの家具と同じように移動しても良いことになります。

続いて、本尊、位牌、香炉や燭台、花瓶、瓔珞等の仏具などを、それぞれ丁寧に梱包し、ほかの荷物と一緒に新居へ運びます。この運搬は住職など、専門家に頼む必要はなく、自分や業者が行っても構いません。魂抜きをしたら、通常の荷物と同じように運んでも大丈夫とされますが、丁寧に扱いたいものです。ダンボールに梱包しても、仏具が入っていることがわかるようにしておきましょう。

また仏具の中でも、本尊や位牌は特別大切なものです。可能なら、本尊と位牌だけでも、自分で運びましょう。

なお、解体した仏壇を新居でもとに戻せるように、解体前の仏壇をスマートフォンやデジタルカメラで撮影して、記録しておくと良いでしょう。

仏壇を新居へ運び込む手順

新居に着いたら、仏壇を組み立てて設置します。仏壇の組み立て・設置も、自分で行って構いません。仏壇を設置したら、住職にお勤めを依頼し、お経を唱えてもらって、魂入れを行います。

新居が旧居から遠くない場合は、魂抜きをしていただいた住職に来てもらって、魂入れを依頼します。もし遠方へ引っ越した場合は、菩提寺の住職に相談して、引越し先の同じ宗派のお寺に依頼する方法もあります。

仏壇を引越しで運ぶときに起こる問題

仏壇はそうそう動かすものではありません。中にはいざ引っ越す段階になって、「仏壇、どうしよう」と悩むこともあるでしょう。

新居に仏壇を置くスペースがない

古い家であれば、仏壇用のスペースがあるかもしれませんが、比較的新しい家、特にマンションやアパートなどの集合住宅だと仏壇用のスペースがないことは珍しくありません。仏壇用のスペースがない場合は、部屋の片隅に仏壇を設置することになるでしょう。

大型の仏壇を所有している場合は、引越しを機にコンパクトな仏壇に買い替える人もいます。仏壇を買い替えた場合は、旧居で魂抜きをした後に仏壇を粗大ゴミとして処分し、新居で新しく購入した仏壇で魂入れを行います。

コンパクトな仏壇は、床に直接置くと手を合わせるときに見下ろすことになります。それを避けるため、台やタンスなどの上に設置して、適度な高さに調整しましょう。

引越しのタイミングで仏壇を処分する

引越しを機に、「新居には仏壇を置かない」と廃棄する人もいます。仏壇自体は、魂抜きをしたあとは、粗大ゴミとして処分できますが、その場合でも、位牌だけは残しましょう。位牌は、亡くなった人の形代(かたしろ。魂が宿るもの)で、仏壇とは違った意味で大切なものです。

遺影を引越しで運ぶ方法

仏壇の上などに遺影を飾っている人も多いと思います。遺影を飾る習慣は、写真が普及してからなので、仏教の歴史から見れば、ごく最近のものです。しかし、遺影も故人を偲ぶものと考えれば、位牌と同じものといえます。位牌と同じように、ほかの荷物と一緒に扱うのではなく、可能であれば自分で運ぶようにしましょう。

ペットの仏壇も人間と同じ扱い?

ペットを大切にしている家庭では、亡くなったペットを家族と同様に扱うことがあります。中には、ペット用の仏壇や写真を設置して、手を合わせている人もいるでしょう。ペットの仏壇や写真については、飼い主の気持ちを優先に考えましょう。形見だけは自分自身で持つなど、納得できる形で新居に運びましょう。

神棚を引越しで運ぶときはお神札を大切にする

仏壇のほかに、神棚を設けている家も少なくないと思います。神棚は、仏教ではなく、神道で扱うものです。神棚で最も重要なのは、お神札(かみふだ、しんさつ。紙札とも書く)です。お神札を新居へ運ぶときは、白い紙や布で包み、大切に新居へ運ぶのが一般的です。また神棚を新居に運ぶ場合は、仏壇と同じように旧居で神主に来ていただいてお祓い(清払い)を行い、新居へと運びます。

ただし仏教同様、新居に神棚を設置したときにもお祓いをするかどうかは、神社や神主によって考え方が異なります。気になる人は、地域の神社に相談してください。

2017年2月23日掲載

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ガイドプロフィール
船木 麻里(ふなき・まり)
家事セラピスト、整理収納アドバイザー、フリー編集者/ライター

出版社勤務を経て、出産を機に独立。雑誌、書籍等で教育や家庭生活をテーマに幅広く取材、執筆。家事セラピストとして、自分らしく気持ちのいい暮らし方を提案。「引越し9回&立ち退き2回」の経験から引越しにも一家言あり。

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