愛車の「DIY」メンテナンスに法的な問題はない?
整備や修理で気をつけたいポイント

ガイド:山田 正昭

日本でも「DIY(Do it Yourself)」が一般的になり、愛車の手入れを自分で行う人が増加しています。「自動車の整備やメンテナンスは整備士が行うもので、素人が行ってはいけない」というイメージを持っている人が多いかもしれませんが、実は、自分の所有車ならどんな整備をしても法的に問題はありません。
ただし、いくつか注意すべきポイントも。当然のことですが、「道路運送車両法」などの関連法令に違反する改造は絶対に行ってはいけません。また、初心者はブレーキやエンジンなど、自動車の根幹をなす部分には手を出さないほうがいいでしょう。電装系もうかつに改造を施すと車両火災の原因になるので注意が必要です。安全には細心の注意を払って、趣味としての自動車整備を楽しみましょう。

日曜大工やリフォーム、ガーデニングと同様に、自動車やバイクのちょっとしたメンテナンスや整備を「DIY」で行う人が増えています。ここでは、DIYメンテナンスの基本と注意点について解説していきます。

アメリカでは当たり前、日本でも自動車の「DIY」が一般的に

アメリカ映画を見ていると、お父さんが庭先で愛車のボンネットを開けて、一生懸命に車の修理やメンテナンスをしているシーンをよく目にします。これは映画の中だけのことではなく、アメリカの一般家庭では非常にありふれた光景です。

広大な国土を持つアメリカでは、都市部以外に住んだ場合、ディーラーなどの修理工場が近くにあることはまれ。そのため、修理を依頼すると費用が高額になる上に時間もかかってしまいます。こういった事情から、自動車修理に限らず、大抵のことは自分で対応してしまう「DIY(Do it Yourself)」が文化として息づいているのです。

近年は日本でもDIYの文化が広まってきました。ホームセンターにはプロ顔負けの工具や材料が販売されています。人気の中心は日曜大工やガーデニングですが、最近では愛車にもDIYの精神を発揮する人が増えているようです。

ただし、日本は自動車メーカーのサービス網が行き届いているので、必要に迫られて修理をする人はあまりいません。むしろ趣味の一環で「自分の手を油まみれにしよう」という人が多いのが特徴。そのため、修理やメンテナンスよりもチューニングやドレスアップ、カーアクセサリーの取付けを楽しむ人が多くを占めています。

自分が使用する自動車はドライバー自身が整備するもの?

しかし、「自動車のメンテナンスやチューニングは、プロの整備士に任せるもの」というイメージがあります。そして、整備士になるためには国家資格が必要。自分の車だからといって、資格のない人間が手を加えてもいいものなのでしょうか。

自動車の整備や保安基準について定めた「道路運送車両法」には、第47条に「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。」と記載されています。この条文をそのまま解釈するならば、自動車の整備はドライバーが自分でするものだということ。

今の日本の実情とあまりにかけ離れているので驚くかもしれませんが、持ち主が愛車を自分で整備するのなら、資格や許可のたぐいは一切必要ないのです。また、整備範囲も限定されておらず、エンジンやブレーキなど重要な部品を分解してもまったく問題ありません。ただし、「整備をする」という言葉には、整備業者にメンテナンスや修理を依頼するという意味も含まれています。

では、整備士の資格は何のためにあるのかという疑問が湧いてきます。この資格は、他人の自動車を事業として整備する場合に必要となるものなのです。これは料理に例えると理解しやすいでしょう。自宅で自分や家族のために料理をするなら、免許も許可も必要ありません。しかし、飲食店を開業する際には、食品衛生責任者の資格や営業許可が必要になるのと同じことです。

資格は不要でも安全確保には最大限の注意を

自動車の修理やドレスアップは趣味としても楽しく、有意義なものです。ただし、使用者による整備が適法だからといって、何をしてもいいというわけではありません。当然のことながら、違法改造は絶対に行わないこと。どのような改造が違法になるか判断が難しい場合は、最寄りの運輸支局に問い合わせてみましょう。

もうひとつ大切なことは、安全確保に最大限の注意をすること。作業中の安全と作業後の自動車の安全性の両面で注意を払う必要があります。どんな作業でも慎重に行うのが基本。自動車DIYの初心者であれば、「ブレーキのような重要な部分には手を付けない」といった判断も必要になるでしょう。

また、簡単そうに見えて実は注意が必要な改造もあります。それは意外にも電気配線。最近、自動車のDIYで事故が急増しているのです。DIYの初心者は、オーディオやカーナビ、あるいはイルミネーションといったアクセサリの取付けに挑戦することが多いのですが、配線の加工をいい加減に行うと車両火災に繋がる場合も。たとえ簡単と思われる改造でも、整備士や経験者に指導してもらうなど、安全・確実に作業できる工夫をしたほうがいいでしょう。

2014年12月10日掲載

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ガイドプロフィール
山田 正昭(やまだ・まさあき)
自動車・バイク・ITジャーナリスト/YouTuber

自動車雑誌、バイク雑誌の編集を経て、フリーランスとして独立。Webに活躍の場を移し、多数のサイトで執筆活動を展開中。カーナビやデジタルガジェットのインプレッション記事も得意とする。最近はYouTubeで車やバイクのレストア・整備・修理などを公開中(まーさんガレージ:https://www.youtube.com/user/yamada911/)。

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