車の位置情報がすぐにわかる!
カーナビに必須の「GPS」、いったいどういう仕組みなの?
カーナビに組み込まれた「GPS」受信機は、衛星からの電波を利用して自分の位置を特定していますが、それには4つ以上の衛星から信号を受け取る必要があります。しかし、走行中は高い建物やトンネルといった周りの状況によって電波をうまく受信できず、ルート案内に誤差が生じることも。こういった誤差は、カーナビ本体のセンサーやタイヤの回転数など、車からの情報を利用して地図上の自車位置を見失わないように制御しています。さらに、現在は日本独自の準天頂衛星システム「みちびき」の計画が進んでおり、2018年以降を目処に、カーナビの精度はますます高くなることが期待されます。
カーナビはなぜいつも正確な位置を示すことができるのでしょうか。世界中どこにいても位置情報を測定できる「GPS」の仕組みを解説しましょう。
カーナビはなぜ車の現在位置を正確に表示できる?
カーナビの画面上にはいつでも正確な車の現在地が表示されます。これは「GPS」という、位置情報測定システムのおかげ。名前だけであれば誰もが聞いたことがあるはずです。しかし、その仕組みを熟知している人は少ないでしょう。
GPSは、人工衛星からの電波を受信し、次のような順序で現在位置を測位しています。第一に、人工衛星からカーナビまでの距離を測ります。距離を求める計算式は、皆さんがご存知の通り、「速度×時間」。人工衛星からカーナビまでの距離を測る場合は、電波の速度秒速約30万キロメートルに人工衛星から発射された電波がGPSに辿りつくまでの時間を乗じればいいわけです。
人工衛星からのカーナビまでの距離がわかれば、自分の車が、衛星を頂点とした円錐の底辺の円周上のどこかにいることがわかります。この計算を複数の人工衛星との間で行うことで、現在地を捕捉することができるのです。
例えば、ふたつの衛星で距離を測定すると、自分の車はふたつ円の交点のどちらかにいることになります。そして、3つの人工衛星から等距離の円周を使うと、交点をひとつに絞ることが可能。その場所こそが、GPSが測定した自車位置なのです。
ただし、3つの衛星では、まだ十分ではありません。なぜなら、カーナビのGPSに内蔵されている時計の精度はクォーツ時計程度。前述の「速度×時間」から距離を導き出すには、より正確な「時間」が必要です。そこで、人工衛星に搭載されている、きわめて正確な「原子時計」を活用します。4つ目の衛星から原子時計で計測している時間情報を受け取り、他の3つの衛星と同調させることで、さらに精度を高めているのです。
電波を正常受信できなくても走行情報で自車位置を捕捉
「GPS」の測位精度は誤差10m程度だと言われています。片側2車線程度の道幅があれば、上下車線のどちらにいるかは特定できると思っていいでしょう。ただし、この誤差は4つの衛星から理想的に電波が受信できた場合のこと。
山や高層ビルといった高さのある障害物によって電波が遮られたり、反射したりするとGPSの測位誤差は大きくなります。そのため、長いトンネルの中などではうまく電波を受信できずに、ルート案内が正しく表示されなくなってしまうことがあるのです。
こうした事態を防ぐために、カーナビはGPS内に組み込まれた加速度センサーなどを利用して、車独自の走行情報を読み取っています。衛星からの電波をうまく受信できないときでも、走行速度やタイヤの回転数、どこで旋回したかといった情報を組み合わせることで、正確な位置を把握できるのです。
「GPS」がより高精度に!2018年からスタートする準天頂衛星「みちびき」
最近のカーナビには「準天頂衛星システム みちびき対応」という表示を見かけます。「みちびき」とは、日本独自の衛星測位システムのことで、現在は初号機のみが運用中。2016年以降に順次、2号機から4号機までが打ち上げられ、2018年からは4機体制で運用される予定です。
GPSの測位には4つの衛星が必要と前述しましたが、安定した情報を得るには、8機以上の衛星を利用できるのが理想とされています。地球全体に配置された衛星を利用すると、地球の裏側にあり見えないものもありますが、「みちびき」は常に1機が日本の天頂付近に見えるように配置されるため、GPSの測位精度を高めることが可能。将来的には7機体制での運用を視野に入れています。
2014年12月26日掲載
アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンでIT関連専門書の企画・編集に携わる。2004年からフリーランス。IT、情報セキュリティをはじめ、モータースポーツ、ITS、EV、カーナビなどの自動車関連最新技術の取材・執筆も多数。
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