ハイオクとレギュラーは何が違う?
知っておきたいガソリンの話

ガイド:山田 正昭

ガソリンにはハイオクとレギュラーがあります。その違いは、「オクタン価」。オクタン価の高いハイオクガソリン(高オクタン価ガソリン)は、ハイパワーで高効率なエンジンを作るのに都合のいいガソリンです。もちろん、ハイオク仕様の自動車には、ハイオクガソリンを入れるのが基本。レギュラーガソリンでも走行は可能ですが、エンジンが壊れないという保証はありません。さらに、本来の性能を発揮できないだけでなく、メーカー保証の対象外になってしまうというデメリットも。ガソリン代の節約のためにレギュラーを入れると、かえって割高になることもありえるのです。

日本のガソリンスタンドでは「ハイオク」と「レギュラー」という2種類のガソリンが販売されています。その違いは「オクタン価」にあることをご存じでしょうか。でも、オクタン価とはいったい何なのでしょうか。

ハイオクガソリンは「燃えにくい」のが特徴

現在、国内のガソリンスタンドでは「レギュラー」と「ハイオク」の2種類のガソリンが販売されています。ガソリンは自動車メーカーの指定通りに選ぶ必要があり、輸入車やハイパワーなスポーツカーではハイオクガソリンが指定されていることが多いようです。ハイオクガソリンにはパワーが出るというイメージもあり、レギュラーガソリンよりも燃焼時のエネルギーが大きい、より大きな爆発力があると思っている人もいるのではないでしょうか。

しかし、ハイオクとレギュラーで爆発力が違うということはありません。では、ハイオクとレギュラーの違いはどこにあるのでしょうか。ものすごく簡単に言うと、ハイオクガソリンとは、レギュラーガソリンよりも燃えにくいガソリンです。この場合の「燃えにくい」とは、「火がつきにくい」ということ。火がついたあとの燃え方はハイオクでもレギュラーでも変わりはありません。

実は、ハイオクガソリンとは「高オクタン価ガソリン」のことで、オクタン価が高いガソリンという意味。そして「オクタン価」とは、火のつきにくさを示す指標なのです。オクタン価の数字が大きいほど、燃えにくいガソリンであり、レギュラーガソリンは90程度であるのに対して、ハイオクガソリンは100か、それ以上のオクタン価があります。

燃えにくいハイオクガソリンが「ハイパワー」「低燃費」を実現

ガソリンは燃料なので、燃えやすいほどいいように思えます。しかし、ガソリンエンジンの燃料は、実は燃えにくいということが非常に重要。もう少し詳しく説明すると、「燃えてほしいときにはすぐに燃えて、燃えてほしくないときには燃えない」。これが大切なのです。

ガソリンエンジンはガソリンを燃やしてパワーを得ますが、単純にただ燃やすのではありません。気化したガソリンが混ざった空気を、ギューッと圧縮してから火をつけて爆発させます。バネを縮ませてパッと放すとすごい勢いで飛び出すように、ガソリンも圧縮してから火をつけることで、ものすごいエネルギーを発揮するのです。

しかし、エンジン内部は非常に高温です。そこにガソリンを入れて、しかも圧縮するとさらに高温になるため、ガソリンが勝手に燃え出す「自己着火」という現象が起きてしまいます。ちょっと難しくなりますが、点火プラグで火をつける前に自己着火するのを「プレイグニッション」、点火プラグで着火したときに、プラグから離れた場所で自己着火するのを「ノッキング」といいます。

「ノッキング」という言葉は聞いたことがある人も多いでしょう。エンジンからカリカリ、カラカラと音がする現象で、エンジンに致命的なダメージを与えてしまうこともあります。燃えにくいガソリンなら自己着火することはなく、ノッキングも起こりません。先ほど、オクタン価のことを、火のつきにくさを示す指標と説明しましたが、もっと正確に言うと、オクタン価とはアンチノック性、つまり「ノッキングの起きにくさ」を示す指標です。

オクタン価の高いガソリンを前提に設計したエンジンは、より大きく圧縮したり、その他のさまざまな設定もハイパワーが出るように調整できます。パワーが出るということは、燃焼効率がいいということ。つまり、燃費のいいエンジンを作ることにも繋がるのです。逆に、オクタン価が低い前提での設計では、圧縮の度合いをはじめ、さまざまな設定でノッキングが起きないように配慮した調整となるので、パワーが出にくく、燃焼効率も低くなります。

ハイオク仕様の車にレギュラーガソリンを入れるとエンジンが壊れる?

ハイオク仕様の自動車にレギュラーガソリンを入れたい、あるいはすでに入れているという人は多いでしょう。ここまでの説明では、ハイオク仕様のエンジンにレギュラーガソリンを入れれば、ノッキングが頻発してエンジンが壊れてしまうはずです。

しかし、実際にはそういった危険はほとんどありません。その理由として、まずひとつは、ノッキングが起きるような運転をする人が少ないこと。ノッキングはスロットル全開、つまりアクセルペダルをいっぱいに踏み込んだときに発生するもの。市街地を普通に走行するだけなら、オクタン価が低いガソリンでも、そうそうノッキングは起きません。

もうひとつの理由は、最近の自動車にはノッキングを防ぐ仕組みがあるからです。ノッキングが発生すると、人間がそれに気づくよりも早く、エンジンを調整してノッキングを自動的に解消します。

ということは、ハイオク仕様にレギュラーガソリンを入れてもまったく問題ないのでしょうか。その答えは、YESであり、NOでもあります。なぜなら、レギュラーガソリンでも走行は可能ですが、エンジンが壊れないという保証はないからです。

さらに、レギュラーガソリンを使うことによって、そのエンジンの本来の性能が発揮できなくなり、燃費が悪化する可能性があるだけでなく、メーカー保証の対象外になってしまうという大きなデメリットも。ガソリン代の節約のためにレギュラーを入れると、性能が低下する上に、実は割高になることもありえるのです。

2015年11月27日掲載

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ガイドプロフィール
山田 正昭(やまだ・まさあき)
自動車・バイク・ITジャーナリスト/YouTuber

自動車雑誌、バイク雑誌の編集を経て、フリーランスとして独立。Webに活躍の場を移し、多数のサイトで執筆活動を展開中。カーナビやデジタルガジェットのインプレッション記事も得意とする。最近はYouTubeで車やバイクのレストア・整備・修理などを公開中(まーさんガレージ:https://www.youtube.com/user/yamada911/)。

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