引越し業者のキャンセル費用はいくら?トラブルを避ける基本知識

ガイド:吉田 章

引越し業者に作業の依頼をしたあとに、やむを得ない事情で、予定日に引越しができないことがあります。そういった場合は、引越し業者にキャンセルを申し出なくてはなりません。キャンセルを伝えたのが、引越しの2日前からはキャンセル料(運賃及び料金の20~50%以内)が発生します。また、キャンセル料以外にも、梱包資材などのサービスを受けているときは、それらのサービスに対する料金の支払いも必要です。

なんらかの事情で引越しをキャンセルしなければならなくなった場合、まず気になるのが、業者への解約料ですよね。
すでに何らかのサービスを受けている場合、キャンセル費用が発生するのは仕方のないことです。しかし、引越し作業が行われるのは予定日当日。事前キャンセルでお金を支払う必要があるのか、知識がないと判断出来ないことでしょう。このページでは、引越しの解約料が発生する条件やキャンセル連絡のコツなどについて、解説していきます。

未契約ならキャンセル料は掛からない

キャンセル料が発生するのは、契約を結んでいる場合です。そのため、書面や口頭ではっきり依頼する旨を伝えていない限り、キャンセル料は掛かりません。見積もりを出してもらっただけであれば、メールか電話で引越しの予定がなくなったことを伝えるだけで収まるはずです。

ただし下見の費用が請求されることも

引越しの見積もりは、多くの場合、問い合わせ時の簡易的なものと、実際に現場を訪問しての詳細なものという、二段構えになっています。

業者によりますが、キャンセル料は発生しなくとも、下見分の費用が発生することが考えられます。その場合、訪問の日程を段取りする際に業者から費用について通知するルールとなっていますので、問い合わせ時に聞き逃さないよう、注意しておきましょう。不安であれば、念のためこちらから確認しておくと安心です。

相見積もりを利用する場合の注意点とマナー

未契約であれば料金は掛からないのですが、だからと言って訪問見積もりを複数社に同時に依頼するのはおすすめ出来ません。

マナーとして歓迎されないことですし、繁忙期であれば契約を断られることも考えられます。また、場が混乱し、冷静な判断を下せなくなる可能性も。

一社一社を対応すると相応に手間と時間が掛かってしまいますが、相見積もりは別個に依頼し、判断材料が出揃ってから、じっくり考えて結論を出すことをおすすめします。

また、訪問見積もりは三社程度が理想。予め一括見積もりサービスなどで目ぼしい業者を絞り込んでおくと、スムーズに業者探しを進めることが出来るでしょう。

契約後の引越し業者のキャンセル費用は法律で定められている

続いて、契約を結んでしまったあとに掛かるキャンセル費用について見ていきましょう。

キャンセル料や延期手数料が発生するのは前々日から

契約後に発生するキャンセル料、延期手数料については、国土交通省が定める標準引越運送約款に以下のような記述があります。

第二十一条 当店が、解約手数料又は延期手数料を請求する場合は、その解約又は受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前々日、前日又は当日に行われたときに限ります。ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった 場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。

引用元:標準引越運送約款

上記の第三条第七項の規定というのは、依頼を受けた業者が引越し予定日の三日前までに、依頼主に見積書の内容に変更がないかを確認する、というルールを指します。
つまり予定日三日前までに受ける業者からの確認連絡でキャンセルや延期の意思を伝えていないと、ペナルティが発生してしまうわけです。

費用は最高でも見積もり額の5割以下

キャンセル手数料の上限は、同じく標準引越運送約款に以下の形で定められています。

解約のタイミング 手数料の上限
前々日 見積もり額の20%以内
前日 見積もり額の30%以内
当日 見積もり額の50%以内

具体的な金額は業者により異なりますが、多くとも半額以下で収まる、ということは知っておくと良いでしょう。

また、もし何らかのオプションサービスを依頼しており、そのサービスがすでに実施・着手している場合は、その分の費用も請求されることがあります。

事故や天災などが発生した場合の料金

ちなみに、引越し途中で荷物に損害が発生したり、到着が遅延したりした場合の料金は、それが天災や荷物の性質(壊れやすい、腐敗したやすいなど)による避けがたいものでない限り、基本的には業者が賠償することとなります。

賠償の形はケースバイケースですが、物品の破損の場合は、修理、買い替え、金銭、という順で優先されるのが一般的です。

また、遅延については、それが理由で財産に損害を受けた場合に限り賠償の対象になります。例えば荷物が届かないために宿泊を余儀なくされたり、日割りの賃料が1日分無駄になったりした場合などが該当します。

内金・手付金の支払いについて

契約を結ぶ際、内金や手付金の支払いを求められることがあります。

しかし標準引越運送約款では、内金や手付金の請求を禁止しています。 その業者が自社独自の約款を採用している可能性もありますので、一概に支払う必要がない、とは言えないのですが、一般的には請求されるはずのないものです。

もし、契約時に手付金やそれに類する料金の支払いを求められたら、念のため本当に必要なものか確認してみることをおすすめします。

引越し業者へのキャンセル連絡のコツ

よほど心の強い人でない限り、一度結んだ契約をキャンセルするのは、抵抗があるものです。
以下に、スムーズにキャンセル連絡をするポイントを紹介しますので、参考にしてみてください。

予定が曖昧なときは見積もり時に伝えておく

予めキャンセルする可能性がある、とわかっているなら、最初に見積もりを出してもらう段階でそのことを伝えておきましょう。

引越し業者は、相見積もりで他社に顧客を取られる経験を少なからずしています。依頼する側が想像しているより、キャンセルには寛容です。予め解約の可能性を伝えようと伝えまいと、対応に差が出ることはありません。

また、事前に可能性だけでも伝えてもらえば、業者はそれに備えて人材や車両を割り振ることが出来ます。どちらにせよキャンセルされるなら、事前連絡があった方がありがたいわけです。

予定が曖昧な時は、隠さずそれを伝えることをおすすめします。

キャンセルが決定したらすみやかに連絡する

キャンセルが決定的になったタイミングで、すぐに連絡をする、というのも重要です。

気後れして先延ばしするのは、自分にとっても引越し業者にとっても良いことがありません。連絡が遅くなるほど、キャンセル料が発生する可能性が高まりますし、業者は業者で、キャンセル後の身動きが取りづらくなります。

自身の罪悪感を最小限に留めるためにも、早めの連絡が重要です。

明確な理由を伝える

引越し業者によっては、値引き交渉などをして引き止めようとするケースがあります。

その業者に依頼するつもりがないのであれば、キャンセルの理由をはっきり伝えた方が、お互いに余計なやりとりをせずに済みます。

もし、他社に乗り替える、というような伝えづらいものであるなら、いっそ引越しが中止になってしまった、と方便を使うのも一つの方法です。

個人への連絡を避ける

担当者に連絡をするのが気まずい、という場合は、代表電話に掛けるという手があります。

多くの場合、応対するのは事務スタッフですから、契約時に顔を合わせた当人を迂回する形で、キャンセルの話を済ませることが出来ます。

番外・キャンセルした場合のダンボールについて

引越し業者と契約をすると、ほとんどの場合、梱包用のダンボールが提供されます。

これは契約が前提となるサービスですから、キャンセルした場合はその分の料金を支払うか、返却をする必要があります。

基本的に、未使用のダンボールは返却となることが多いですが、配送料などを巡ってトラブルになるケースも見られます。もしダンボールを受け取っている場合は、キャンセルの連絡をする際に、忘れずにその処理方法を確認しておきましょう。

日程変更でも料金は発生するのか

日程変更の場合も、基本的にはキャンセルと同じルールが適用されます。詳しく見ていきましょう。

料金が発生するケース

キャンセルする場合と同じく、三日前までに日程変更の連絡をしておかないと、手数料が発生する業者がほとんどです。

引越し二日前の連絡で見積もり金額の最大20%、一日前の連絡で30%、当日の連絡で30%の手数料が発生します。

また、三日前までに連絡した場合でも、以下のようなケースでは手数料を支払う必要が出てきます。

引越し業者が別の業者に専門作業を外注している

飼育動物やグランドピアノなど、取扱いに専門知識が必要な荷物は、引越し業者から別の運搬業者に外注を出すことがあります。

特殊なケースに対応するには、相応の準備を整えねばなりません。そのため、日程を変更する場合にその分の調整手数料を請求される可能性があるわけです。

すでに着手している作業がある

引越し業者の中には、ハウスクリーニングや梱包作業などのオプションプランを用意しているところがあります。
そうした作業を依頼し、すでに着手済みのものがある場合、変更後の日程によっては着手分の料金を先に支払うこともあります。

料金が発生しないケース

続いて、日程変更で料金が発生しないケースについて解説します。

予定日三日前までの連絡

標準引越運送約款が定める通り、日程変更で料金が発生するのは、三日前までに業者に連絡をしなかった場合です。

したがって、予定日三日前までに日程変更の要望を伝えれば、手数料が発生する心配はありません。

業者による確認の不備

標準引越運送約款には、手数料が発生する前提として、予定日の三日前までに、引越し業者が依頼主に見積書の内容を確認する連絡をしなければならない、という決まりがあります。

仮に日程調整の連絡を失念していた場合でも、業者から確認の連絡が来ていないなら、手数料の支払いを回避出来る可能性があるわけです。

依頼主に過失のない遅延

当然と言えば当然ですが、自然災害や引越し業者の都合による日程変更の場合は、手数料が発生しません。

ただ、例えば台風被害を見越しての延期、というような場合、それが本当に引越し作業を取りやめるほどの被害をもたらすのか、判断が難しいこともあるでしょう。

天災に備えて日程調整を考える時は、自身だけで判断せず、プロである引越し業者にまず相談することをおすすめします。

手数料は発生しないが見積もりが変わる可能性も

引越し料金は、需給により金額が変動します。そのため、閑散期と繁忙期では、見積もり金額に違いが出ます。閑散期ほど安く、繁忙期ほど高くなるわけです。

そのため、日程変更のタイミングによっては、見積もり金額が変わってしまうことが考えられます。 たとえ予定日三日前に連絡をしても、最終的に高くついてしまう可能性がある、ということは知っておくと良いでしょう。

中には依頼者が料金を請求出来るケースも

解約や延期では、依頼した側が手数料を支払うというのが普通です。
ただ場合によっては、依頼者が引越し業者に料金を請求出来ることがあります。以下に簡単に紹介します

契約書の内容と実際のサービスが食い違っている

実際の作業内容が、契約書(見積書兼用の場合もあり)に記載されているものと違っている場合、それは契約義務違反となります。

証拠を押さえれば、値引きや賠償を請求することが可能。荷物を運び込む位置が指示と違っていた、というような場合は難しいですが、オプション料金を支払っているのに家具・家電を設置してもらえなかった、というように、損害を金額に置き換えられるケースでは、泣き寝入りをせずきちんと交渉することをおすすめします。

引越しの最中に荷物が紛失・破損した

電子データなど、破損の原因特定が困難な物品を除き、引越し中に業者の過失で荷物が紛失、破損した時は、賠償してもらうことが出来ます。これは、住居や共用部にキズがついた場合も同様です。

この場合、修繕可能なものは修繕、買い替え可能なものは買い替え、修繕も買い替えも出来ないものは金銭での賠償、という形を取るのが一般的です。

具体的な補償内容は、引越し業者が加入している保険によりますので、不安な方は契約時に確認しておくと良いでしょう。

トラブルがあった場合にすべきこと

荷物の紛失や住居の破損などがあった場合、まず心掛けたいのは、責任の所在を明らかにするための客観的な判断材料を確保することです。

具体的には、関係したスタッフの名前を控えたり、経緯を文章で記したり、破損状況を写真に残したり、といったことです。

トラブルがこじれると、弁護士に間に入ってもらうことにもなりかねません。早い段階で客観的な判断材料を用意しておけば、双方の先入観や思い込みを排除し、スムーズに手続きを進めることが出来るでしょう。

2018年6月5日掲載

2020年9月17日更新

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ガイドプロフィール
吉田 章(よしだ・あきら)
株式会社ウェブクルー 引越し関連サイト 営業担当

株式会社ウェブクルーが運営する引越し関連サイトの営業担当者。引越しに関する造詣の深さを活かし、営業担当として活躍中。

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