自動車購入はクーリングオフできない!契約取消し可能なケースを紹介

ガイド:渡辺 剛志

車の購入契約後、さまざまな事情によって購入をキャンセルしたいこともあるでしょう。基本的に契約後にはキャンセルできませんが、場合によっては対応可能なこともありますので、万が一のときのためにこの記事を一読しておくことをおすすめします。

「イメージと違った」「他に良さそうな車が見つかった」などの理由から、自動車の購入をキャンセルしたいと考える人は少なくないでしょう。しかし、一度でも契約してしまうと基本的に返金などには応じてくれません。本記事では、その理由を説明します。また、契約を取り消せるケースもあわせて紹介しますので、自動車の購入にクーリングオフが適用できるのか気になる人は参考にしてみてください。

自動車の購入にはクーリングオフ制度が適用されない

結論から言うと、自動車の購入にはクーリングオフ制度は適用されません。そのため、契約成立後のキャンセルは認められていない点に注意が必要です。

クーリングオフとは

クーリングオフとは、契約の申込みや、契約の締結をした場合などでも、一定の期間内であれば契約申込みの撤回・解除ができる制度です。訪問販売などで商品を無理やり買わされてしまった場合に適用されるケースが一般的です。

クーリングオフできる期間は、申込書面または契約書面のうち、どちらか早いほうを受け取った日から起算します。例えば訪問販売などでは8日間、連鎖販売取引(マルチ商法)などでは20日間の期間が定められており、この期間であれば契約をキャンセルできます(※)。
※条件によってはクーリングオフできない場合もあります。

自動車の購入にクーリングオフが適用されないのは、「自分の意思で購入を決めた」と判断されるためです。通常、自動車を買う際は時間をかけて慎重に検討します。つまり「無理やり買わされた」とは言い切れないため、クーリングオフは適用されないのです。なお、新車だけでなく、中古車や新古車を購入する際も、クーリングオフが適用されないことを覚えておきましょう。

自動車の購入をキャンセルできるケース

自動車の購入は基本的にはクーリングオフできません。ただし、次の4つのケースでは購入をキャンセルできる場合があります。

・口約束のみで、まだ書面契約が成立していない場合
・売買契約書に取消しに関する規定がある場合
・購入者が未成年の場合
・瑕疵が見つかった場合

口約束のみで、まだ書面契約が成立していない場合

口約束だけで書面契約を交わしていないときは、キャンセルできる場合があります。契約のやり取りが証拠として残っていないため、「契約はまだ確定していない」と主張できる可能性があるからです。

ただし法律上は「購入者側・販売者側の双方で意思表示が合致(お互いが同意)していれば契約は成立する」とされています。つまり書面契約を結んでいなくても、口頭で「購入します」と伝え、それを販売店などが承諾した場合は契約成立とみなされます。

口約束は「言った・言わない」の争いになりやすく、トラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。あらかじめ契約を結んでおくなど、購入に関しては確かな証拠を残しておくのが賢明でしょう。

売買契約書に取消しに関する規定がある場合

売買契約書に「取消し」に関する規定がある場合もキャンセルできる可能性があります。

法律上の「取消し」とは、いったん生じた契約の効力を無効にできることを指します。そのため取消しできる旨が売買契約書に明記されている場合は、初めから契約がなかったことにできるのです。

購入者が未成年の場合

購入者が未成年の場合は、自動車の売買をキャンセルできる可能性が高いです。

民法では「未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は、原則として取り消すことができる」と定められています。法定代理人とは、未成年者の親など、親権をもっている人のことです。つまり親などの同意を得ず、未成年者がひとりで自動車の売買契約を結んだ場合はその契約を取り消せます。

ただし、未成年であっても婚姻経験があったり、自分が成年と嘘をついて契約を交わしたりした場合は契約の取消しができない点には注意が必要です。

瑕疵が見つかった場合

購入した自動車に瑕疵(かし)が見つかったときも、契約をキャンセルできる場合があります。瑕疵とは、簡単にいうと「欠陥」のことで、購入後の運転でエンジントラブルに遭った、あるいは修理履歴を伝えられないまま購入した場合などに主張できます。

この規定は2020年4月の民法改正によって、これまで「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものが「契約不適合責任」に変わりました。しかし実質的な内容に大きな変化はなく、改正前同様に、売買した目的物(自動車)に瑕疵があれば契約を解除できると定められています。

自動車の購入をキャンセルする際の注意点

自動車の購入をキャンセルする際は、販売店とのトラブルを避けるためにも次の5つに注意しましょう。

・基本的にはキャンセルできないことを理解しておく
・消費者契約法を確認しておく
・キャンセルするなら早急に販売店に連絡する
・キャンセルできたとしてもキャンセル料や違約金が発生する
・ローン契約後のキャンセルはローンの種類によって異なる

基本的にはキャンセルできないことを理解しておく

自動車の購入は、基本的にはキャンセルができません。「キャンセルできるはず」と思って販売店と交渉を進めると、対立が起きてしまうなどトラブルに発展する可能性があるため、その点には注意して対応するようにしましょう。

そもそも自動車はクーリングオフの対象外で、未成年者の売買や瑕疵などを除けば、ほとんどのケースで契約は取り消せません。販売店との対立を避けるためにも、キャンセルできないことは十分に理解した上で交渉を進めましょう。

消費者契約法を確認しておく

消費者契約法に目を通しておくことも大切です。なぜなら、販売店からの不当な要求を回避できる可能性があるからです。

消費者契約法とは、事業者(販売店など)から消費者を守るために制定された法律です。たとえば第4条第1号では、重要事項について、事実と異なることを告げられた場合は申込みを取り消せるといった旨が定められています。つまり「重大な欠陥があるにも関わらず、それを隠して販売された」などのケースでは購入をキャンセルできる可能性が高いのです。

キャンセルするなら早急に販売店に連絡する

キャンセルすることを決めたら、販売店にすぐに連絡しましょう。販売店側の契約手続きが未着手かつ、店舗側に損害がない場合は契約をキャンセルできる可能性があるからです。

キャンセルするか迷い、時間ばかりが過ぎてしまうと契約手続きが完了してしまいます。この場合、「取消し条項」が契約書に明記されているなどの例外を除いてはキャンセルできなくなってしまうため、早めの連絡を心掛けましょう。

キャンセルできたとしてもキャンセル料や違約金が発生する

販売店との同意のもと自動車の購入を取り消せたとしても、キャンセル料や違約金を求められる可能性があります。自動車の購入代金がすべて戻ってくることは考えにくいため、ある程度の出費は覚悟しておいたほうが良いかもしれません。

キャンセル料や違約金に関しては、「購入代金の数パーセントを支払う」といった形で契約書に書かれていることが一般的です。売買にあたって販売店側で発生した経費、オプションパーツなどの取付けに生じた実費や修理代を請求される場合もあります。

なお、消費者契約法第9条第1号では、高額な違約金を請求されたときは、平均を上回る額は無効とする旨が定められています。そのため自動車の購入にあたり、契約書に違約金が明記されていても、その額が明らかに高ければ「不当な額を請求された」として一部の支払いを拒否できることも知っておきましょう。

ローン契約後のキャンセルはローンの種類によって異なる

ローンを組んで自動車を購入した場合は、ローンの種類によってキャンセルできる条件が異なります。

銀行系のマイカーローンでは、仮審査や本審査後のキャンセルを受け付けている会社が多いです。ただし契約手続きが完了した場合はキャンセルできません。

ディーラーや販売店が独自に設定しているカーローンは「クレジット契約(割賦購入あっせん契約)」ということもあり、各社によって契約成立時期が異なります。いつまでにキャンセル申請をすれば良いかについては、申込み先のディーラー・販売店に問い合わせてみてください。

契約を結ぶ前にしっかり確認し、慎重に進めよう

自動車は「大きな買い物」だからこそ、慎重に検討することが大切です。クーリングオフも適用されないため、軽い気持ちで契約を交わすのはおすすめできません。契約書に記載の違約金や、ローンを組む場合はキャンセル可能なタイミングをあらかじめ確認した上、細心の注意を払って購入するようにしましょう。

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ガイドプロフィール
渡辺 剛志(わたなべ・つよし)
株式会社ウェブクルー 自動車関連サイト 事業責任者

株式会社ウェブクルーが運営する自動車関連サイトの事業責任者。新車・中古車を問わず、マーケット動向に深い知見を持つ。

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