「ハロゲン」「HID」「LED」
種類も形も豊富なヘッドライト

ガイド:中尾 真二

ヘッドライトは、車の重要な保安部品であると同時にデザインの要素としても大きな意味を持っています。以前は丸いヘッドライトが主流でしたが、現在はボディ形状と一体化した立体的なデザインが人気です。デザインの変化とともに、ヘッドライトの光源も「ハロゲン」「HID」「LED」と進化してきています。ハロゲンは価格が安いことから広く普及し、世界的にはヘッドライトの約90%が現在もハロゲンです。HIDは、明るさ、寿命がハロゲンの約3倍あるとされ、車の夜間走行時の安全性向上に大きく貢献しています。LEDは、まだ本格的な普及には至っていませんが、環境負荷の低い車へのニーズが高まる中、電力消費の少ないLEDの利用が今後拡大していくと考えられています。

一口にヘッドライトと言っても、「ハロゲン」「HID」「LED」などさまざまな種類があります。いったいどんな違いがあるのか、また、今後どのように進歩していくのかを解説していきます。

前方を照らすだけではない「ヘッドライト」の役割

ヘッドライトのおもな役割は、夜間走行時に前方を照らすことでドライバーの視界を確保し、安全に運転できるようにすること。前方をただ照らすだけでなく、ドライバーに近い場所から遠くまで、広い範囲にわたって効率よく光を届けることが求められます。同時に、歩行者や対向車に自車の存在を知らせることも、ヘッドライトの大切な役割のひとつです。

ただし、ヘッドライトの存在意義は「安全な走行を維持するもの」にとどまりません。もうひとつ重要な役割を果たしているのです。それは、「車全体のデザイン・印象を決める」という働き。ヘッドライトは車の前面に位置するため、車の“顔”の印象に大きな影響を与えているのです。

以前は、ヘッドライトと言えば丸いものがほとんどでした。その後、角形のヘッドライトの登場でフロントグリルのデザインの幅もぐんと広がり、さまざまな“顔”を持つ車が生産されました。近年では、車のフロントグリル、バンパー、ボンネット、フェンダーなど周辺構造のデザインと一体化させ、丸や四角以外の形状で、かつ立体的なデザインのヘッドライトが主流になっています。

このページの上部に掲載した、スバル「XV ハイブリッド」のヘッドライトは切れ長のデザインが印象的。グレードによっては、ハロゲンかHIDかを選択することもできます。ポジションランプに採用されているブルーのレンズも、スタイリッシュさを強調しています。

ヘッドライトの種類は「ハロゲン」「HID」「LED」の3種類

ヘッドライトの形状の変化と歩調を合わせるかのように、ヘッドライトに用いられる光源も、より明るく、電力消費の少ないものへと進化してきています。現在、ヘッドライトは使用される光源によって「ハロゲン」「HID(キセノン、ディスチャージとも呼ばれる)」「LED」の3種類に大きく分けられます。

下にそれぞれの特徴をまとめました。一口にヘッドライトと言っても、それぞれにメリット・デメリットがあることがわかるでしょう。

ハロゲン

ハロゲンヘッドライトは、電球の中にハロゲンガス(ヨウ素、フッ素、塩素、臭素など)を封入し、フィラメントを用いて発光させる仕組みです。価格が安いことから広く普及し、現在、世界的にはヘッドライトの約90%、国内でも約60%がハロゲンです。

HID

HIDライトは、フィラメントを使わず、狭い電極間のアーク放電を利用して発光します。ハロゲンと比べてみると、「光束(こうそく)」と呼ぶ光の総量が3倍以上にもなり、平均寿命も3倍近く伸びています。

LED

LEDは小さなチップが発光する仕組みです。複数のチップを並べて発光させるので、ヘッドライトを設計する際のデザインに自由度があること、また、消費電力が低いことが特長です。

■「ハロゲン」「HID」「LED」の比較
明るさ 寿命 価格
ハロゲン 普通 短い
(約1,000時間)
安い
(数千円~)
HID 明るい 普通
(約2,000時間)
普通
(10,000円程度)
LED 普通 長い
(数年以上)
高い
(製品によっては30,000円以上)


ヘッドライトの明るさや色を自分で変える場合の注意点
近年、ヘッドライトをカスタムするドライバーも増えています。ただし、定格以上のワット数のライトは、発熱によるショートや火災、バッテリーの異常消耗などの原因になりえるので、必ず定格のライトを使用しましょう。
また、「走行用前照灯の灯光の色は、白色であること(「道路運送車両の保安基準」第32条2)」が定められています。ほかの色のヘッドライトでは車検に通らないだけでなく、安全性にも影響が生じるので注意しましょう。

今後、ヘッドライトはどのように進歩していくのか

ハロゲンヘッドライトやHIDヘッドライトは、技術的には新しいものではありません。そのため、フィラメントや電極の新しい素材、封入ガスの画期的な進歩がなければ、明るさや寿命の大きな向上には期待できないでしょう。

そこで現在、これらのヘッドライトは、機能よりも付加価値を高める方向で製品が開発されています。例えば、消灯時に赤、青、緑といった色になるハロゲンヘッドライトは、ボディカラーとのコーディネートを楽しめるライトとして人気です。

一方、LEDは、さらなる高輝度化・省電力化の余地があり、今後の普及が期待されています。電気自動車など環境負荷の少ない車の普及にともない、ヘッドライトの電力消費の低減も求められると予測されます。消費電力の低いLEDは、自動車ヘッドライトの主流になる可能性があるのです。

さらに、次世代の光源としてレーザーを利用する研究も進められています。レーザー光は単位面積当たりの明るさがLEDよりも大きいので、ヘッドライトの小型化や遠方への光の照射を可能とすると期待されています。

2015年2月4日掲載

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ガイドプロフィール
中尾 真二(なかお・しんじ)
テクニカルライター

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンでIT関連専門書の企画・編集に携わる。2004年からフリーランス。IT、情報セキュリティをはじめ、モータースポーツ、ITS、EV、カーナビなどの自動車関連最新技術の取材・執筆も多数。

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