【車検証電子化の実態調査】新たに電子車検証を交付された人の約7割が電子化のメリットを感じており、概ね好評。一方で、「車検証閲覧アプリ」の使用経験は「ない」が約9割、普及には課題感も

「ズバット」を中心とした比較サイトを展開する株式会社ウェブクルー(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:藤島義琢)は、電子車検証の交付を受けた自動車(四輪・二輪)所有者・自動車関連事業に携わる人を対象に、「車検証電子化の実態」に関する調査を実施しました。

調査実施の背景

2023年1月4日より、電子車検証の交付が開始されました。従来のA4サイズの車検証よりもサイズが小さくなり(A6サイズ相当の厚紙に変更)、券面情報は基礎的情報(継続検査や変更登録等の影響を受けない情報)のみが記載され、ICタグが貼付されたことが大きな特徴です。車検証の全情報はパソコン・スマートフォンを使って「車検証閲覧アプリ」で確認できるようになっただけでなく、貼付されたICタグの情報を更新することで、継続検査(車検)時に運輸支局へ出向く必要がなくなるため、車の所有者、自動車関連事業者※の双方にメリットがあると言えます。

しかしその一方で、電子車検証は車検の有効期限や所有者の氏名・住所、使用者の住所などは券面に記載されず、それらの情報はすべて貼付されたICタグのみに記録されることから、従来の車検証に慣れている人たちにとっては、かえって使い勝手が悪いものになってしまっている可能性もあるでしょう。

実際に、電子車検証の交付を受けた人たちはどのような課題を感じているのでしょうか。利用者が直面している課題を可視化することで、その解決への近道となるかもしれません。

※車検証の電子化は2023年1月4日に開始されましたが、現在の対象は登録車・小型二輪車のみで、軽自動車(検査対象軽自動車)では2024年1月から電子化される予定です。そのため、本調査では2023年1月4日以降に新たに車検証の交付を受けた自動車(四輪・二輪)所有者1,077人のうち、軽自動車(検査対象軽自動車)所有者を除く電子車検証を交付された登録車・小型二輪車の所有者801人に対してアンケートを実施しました。また、自動車関連事業者に対しての調査を行うため、事前にスクリーニング調査を行った結果、自動車の販売や整備、運送などの自動車関連事業に携わっている人は275人でした。

調査結果トピックス

<アンケート回答者1,077人のうち、2023年1月4日以降に新たに車検証の交付を受けた自動車(四輪・二輪)所有者801人に調査>
■電子車検証のメリットは「小さくなって保管(携帯)しやすい」が5割以上で最多
■デメリットは、「特にない」が3割以上で、「車検の有効期限の記載がない」「車検時の法定手数料が値上げされた」がそれに続く
■メリットとデメリットを比較した調査では、約7割が「メリットのほうが大きい」と回答
■87.6%が、車検証閲覧アプリを使用したことが「ない」と回答

<801人のうち、車検証閲覧アプリを使用したことがある99人に調査>
■76人が「とても使いやすい・使いやすい」と回答
■その理由は「PCやスマートフォンで手軽に閲覧できる」が59人で最多

<車検証閲覧アプリを使用したことがある99人のうち、使いづらい・とても使いづらいと回答した23人に調査>
■使いにくい理由のトップ3は、「PDFなどのファイルのダウンロード・保存の操作がわかりにくい(11人)」「車検証情報の読み取り完了までの操作がわかりにくい(10人)」「動作環境が限られている(Mac OSやiPadには非対応)(9人)」

調査結果詳細

【メリット?デメリット?】電子車検証について抱いたイメージとは

2023年1月から、新たに交付された自動車の車検証が電子化されました。この電子車検証について、利用者はどのように感じたのでしょうか。はじめに、2023年1月4日以降に新たに車検証の交付を受けた自動車(四輪・二輪)所有者の割合を調査しました。

「2023年1月4日以降、新たに車検証の交付を受けた自動車の種類を教えてください[1]」と質問したところ、『登録車(普通自動車・小型自動車・特種用途自動車・大型特殊自動車)(72.5%)』『小型二輪車(排気量250cc超)(1.9%)』『軽自動車(25.6%)』という結果になりました。軽自動車(検査対象軽自動車)に関しては、2024年1月から電子車検証の交付が始まる運びとなっていますが、今回の調査では軽自動車ユーザーの割合は25.6%でした。

[1]複数台の車検証の交付を受けた人は、おもに使用している自動車について回答

では、新たな電子車検証を交付された登録車・小型二輪車の所有者は、どのような印象を受けたのでしょうか。メリットであると感じたこと、デメリットであると感じたことについてそれぞれ調査を行いました。

まず、「電子車検証のメリットは何だと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『小さくなって保管(携帯)しやすい(53.1%)』と回答した人が最も多く、2番目に多かった『特にメリットはない(26.3%)』を除くと、『ICタグが付いたため券面記載の情報が減って見やすい(22.4%)』といった回答結果が続きました。A4サイズからA6サイズ相当と、半分程度のサイズになった点にメリットを感じている人が多いようです。

そのほか、特にメリットはないと回答した人の割合が比較的多いものの、券面に記載されるのが必要最低限の情報のみとなり、それ以外の情報はICタグに格納されるようになったため、“見やすい”といった点にもメリットを感じている人がいるようです。

上記以外の割合は下記のとおりです。
・車検にかかる時間が短縮される(19.4%)
・車検時に運輸支局(陸運事務所)などへ出向かなくても良い(16.9%)
・個人情報の記載が減り安心できる(16.6%)


次に、デメリットについてはどのように感じたのかを見てみましょう。

「電子車検証のデメリットは何だと思いますか?(複数回答可)」と質問したところ、『特にデメリットはない(33.0%)』と回答した人が最も多く、『車検有効期限の記載がなくなった(28.7%)[2]』『車検時の法定手数料が値上げされた(25.6%)』と続きました。3割以上が特にデメリットは感じないと回答しましたが、車検の有効期限が記載されなくなったり、法定手数料が値上げされたりといった点にデメリットを感じている人も多いようです。

[2]車検証の有効期限は、券面非表示事項に分類。ICタグには車検証の有効期限以外に「所有者の氏名と住所」「帳票タイプ」「使用者の住所」「使用の本拠の位置」の、合計で5つの情報を格納

上記以外の割合は下記のとおりです。
・券面記載事項以外を確認するには車検証閲覧アプリを経由する必要がある(22.5%)
・高温・折り曲げなどによるICタグの破損が心配(20.2%)
・「自動車検査証記録事項」が別途発行され書類が増えた(11.9%)
・自動車保険の加入・更新時の手間が増えた(8.0%)


このように、電子車検証のどのような点にメリットやデメリットを感じているのかがわかりました。では、総合的な電子車検証のイメージとして、メリットとデメリット、どちらのほうが大きいと感じたのでしょうか。

「新たに交付を受けた“電子車検証”について、どちらのイメージを抱きましたか?」と質問したところ、約7割(69.5%)が『メリットのほうが大きい』と回答しました。券面には車検有効期限の記載がなくなったとはいえ、車検証閲覧アプリを使用することで読み取りは可能です。そのほか、特にデメリットと感じることも少ないため、メリットとデメリットを比較すると、車の所有者には電子車検証が概ね好評だということがわかりました。

【車検証電子化の要である“車検証閲覧アプリ”】しかし、使用したことがある人は少数派

ここまでの調査では、電子車検証に対して約7割の人がデメリットよりもメリットを感じていることがわかりました。しかし、基本情報以外をICタグに格納したことで従来よりもコンパクトなサイズとなった電子車検証も、そのICタグを読み取るために必要な「車検証閲覧アプリ」の印象によっては電子車検証自体の評価が異なってくるかもしれません。

実際に、車検証閲覧アプリを使用したことがある人はどのくらいの割合なのでしょうか。

「車検証閲覧アプリを使用したことがありますか?」と質問したところ、『ある(12.4%)』『ない(87.6%)』という回答結果になりました。

使用したことがない人が9割近くを占めていますが、これにはどのような理由があるのでしょうか。前の質問で「車検証閲覧アプリを使用したことがない」と回答した702人に、その具体的な理由を聞きました。

■車検証閲覧アプリを使用したことがない理由 ※一部抜粋
・必要とすることがないため。以前の車検証のコピーで間に合うことが多い(40代/男性/神奈川県)
・情報を見られることは知っていますが、今は必要ありませんし試す時間もないためです(40代/女性/福井県)
・そもそもアプリの存在を知らない。あるならもっと周知するべき(50代/男性/神奈川県)

【使いやすい?使いづらい?】車検証閲覧アプリ使用経験者の印象とその理由

少数ではありますが、車検証閲覧アプリを使用したことがない理由がわかりました。一方で、車検証閲覧アプリを使用したことがあるという人は、どのような印象を持ったのでしょうか。先ほどの質問で、「車検証閲覧アプリを使用したことがある」と回答した99人(12.4%)に聞きました。

「車検証閲覧アプリを使用した印象を教えてください」と質問したところ、『とても使いやすい(20人)』『使いやすい(56人)』『使いづらい(21人)』『とても使いづらい(2人)』という回答結果になりました。

合計すると8割近く(76.8%)の人が「とても使いやすい・使いやすい」と回答したことから、車検証閲覧アプリの利便性は高いということがわかりましたが、どのような理由で使いやすさを感じたのでしょうか。前の質問で、「(車検証閲覧アプリを使用した印象として)とても使いやすい・使いやすい」と回答した76人(合計76.8%)に聞きました。

「車検証閲覧アプリについて、使いやすいと感じた点を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『PC・スマートフォンで手軽に閲覧できる(59人)』が最も多く、次いで『所有(使用)している車両の車検に関するお知らせ(車検拒否情報など)を確認できる(26人)』『所有(使用)している車両のリコール情報を確認できる(22人)』『車検証情報をPDFなどのファイルでダウンロードできる(16人)』『スマートフォンで車検証有効期限のプッシュ通知を受け取れる(13人)』という結果になりました。

PCやスマホで閲覧できるという点が、使いやすいと思うおもな理由だということがわかります。また、車検証閲覧アプリには有効期間やリコールに関する情報を知らせてくれる機能があることからも、“使いやすさ”を感じているようです。

では、反対にどのような点に使いづらさを感じたのでしょうか。先ほどの調査で、「(車検証閲覧アプリを使用した印象として)使いづらい・とても使いづらい」と回答した23人(合計23.2%)に聞きました。

「車検証閲覧アプリについて、使いづらいと感じた点を教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『PDFなどのファイルのダウンロード・保存の操作がわかりにくい(11人)』が最も多く、次いで『車検証情報の読み取り完了までの操作がわかりにくい(10人)』『動作環境が限られている(Mac OSやiPadには非対応)(9人)』『アプリに不具合が発生した場合、好きなときに確認できない(7人)』『スマートフォンでプッシュ通知を設定できる項目が限られている(3人)』という結果になりました。

ダウンロードや保存、読み取りといった操作がわかりにくいといった点や、Mac OSやiPadには対応しておらず動作環境が限られているという点に“使いづらさ”を感じているようです。

【自動車関連事業者からの評価は?】電子車検証・車検証閲覧アプリの課題感

ここまでは、電子車検証や車検証閲覧アプリに関して、車の利用者(所有者)がどのように感じているのか調査を行いました。

ここで、事前に行ったスクリーニング調査によって抽出された自動車関連事業に携わる275人に対して、事業者としてはどのように感じているのか、特に課題であると感じている点について詳しく聞きました。

■現状の電子車検証や車検証閲覧アプリについて、自動車関連事業者が感じている課題 ※一部抜粋
・車検情報が見たいときに、さっと見られないこと(40代/男性/静岡県)
・とても良いと思うが、すべてスマホでの管理だとスマホを紛失したときなどが気になる(50代/男性/岡山県)
・普及するにはまだまだ多くの改善が必要だと思うし時間も要すると感じる(50代/男性/愛知県)
・細かいところまではサービスが行き届いていない印象があります(50代/男性/東京都)


電子車検証の交付による自動車関連事業者側のメリットとしては、運輸支局長等から委託を受けていれば、ICタグに格納された車検証有効期限データを代理で書き換えることができ、新しい車検証に更新可能である点が挙げられます。つまり、陸運支局等に出向く必要がなくなるのです。

しかし、その自動車関連事業者からも、現状の電子車検証や車検証閲覧アプリに対しては少数ながらも課題を感じている様子が窺えました。

【まだ発展途上?】電子車検証・車検証閲覧アプリの使い勝手向上のために必要なこと

一連の調査から、電子車検証のメリットやデメリット、車検閲覧アプリの使用率などが明らかになりました。約7割が電子車検証のメリットはデメリットを上回ると回答し、車検証閲覧アプリの利便性といった視点でも約8割が使いやすいと感じている一方、車検証閲覧アプリの使用率は1割程度に留まり、ファイルのダウンロードや保存の操作がわかりにくいなどの課題が残されていることがわかりました。

また、従来の車検証から電子車検証になったことでメリットが大きいとされる自動車関連事業者の目線でも、少なからず課題感があるようです。

では、電子車検証や車検証閲覧アプリをより使い勝手の良いものにしていくためには、今後どのようなことが必要だと感じているのでしょうか。最後に、自動車関連事業に携わる人を除いた801人に詳しく聞きました。

■現状で感じている電子車検証や車検証閲覧アプリの課題点を解決するために、今後すべきこと ※一部抜粋
・導入することでポイント還元や車検代が安くなるのであれば、もっと広まると思う(30代/男性/千葉県)
・認知度を上げるためには警察署や自動車販売店などでPRに力を入れるべきだと思う(40代/男性/愛知県)
・アプリの使用を必須にすると車両を保持することをためらう人が出てくるのでは。電子化の利点をしっかりと定めることと、使い方の講習などの実施が必要だと感じます(40代/男性/神奈川県)
・見たい情報がさっと見られること。例えばウェブベースで一覧になっていて、コピーアンドペーストが簡単にできることなど(40代/男性/静岡県)

【まとめ】電子車検証や車検証閲覧アプリは概ね好評。しかし、認知度や使い勝手向上のため改善の余地があると感じている様子も窺える

今回の調査で、2023年1月から刷新された電子車検証に対して、利用者や自動車関連事業者がどのように感じているのかがわかりました。

「車検証電子化」については、約7割が「保管や携帯しやすくなった」といった理由等により、デメリットよりもメリットのほうが大きいと感じていることが明らかになりました。また、電子車検証自体の評価にもつながる「車検証閲覧アプリ」に関しても、約8割が使いやすいと回答したことから、利便性は決して低くはないようです。

一方で、車検の有効期間に関しては券面非表示事項に分類されるため、車検証閲覧アプリを使わないと確認できないことや、電子化に伴う各手数料の引上げなど、デメリットと感じられている点もあります。車検証閲覧アプリの使用経験者も全体の12.4%に留まるなど、利用率・認知度ともに低いことが課題と言えるでしょう。


▼調査概要
「車検証電子化の実態」に関する調査
・調査期間:2023年6月7日(水)~2023年6月8日(木)
・調査方法:インターネット調査
・有効回答数:1,029人(自動運転機能搭載:501人/非搭載の自動車を保有する人:528人)
・調査対象:(1)2023年1月4日以降、新たに車検証の交付を受けた自動車(四輪・二輪)所有者/(2)自動車関連事業(※車検に関する業務)に携わる人
・モニター提供元:ゼネラルリサーチ

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