軽自動車の維持費は普通自動車より安い?維持費を安く抑えるポイントも解説!

ガイド:渡辺 剛志

軽自動車の維持費が年間でどれだけかかるのか、普通自動車と比較するとどれだけ差が出るのかを解説します。維持費が高くなるタイミングや、安く抑える方法も併せて紹介するので、維持費節約の参考にしてみましょう。

車の購入費用や維持費などについて考えたとき、「普通自動車よりも軽自動車のほうが安い」というイメージを持っている人は多いでしょう。本記事では、軽自動車の維持費の内訳と、普通自動車との比較を解説します。また、維持費を安く抑えるポイントも紹介するので、軽自動車に乗っている人、これから軽自動車への乗り替えを検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

軽自動車の年間維持費は約50万円

軽自動車の維持費は、乗っている車の状態や使用頻度によってもちろん異なりますが、2023年3月30日時点の調査によると年間で約50万円が必要だとわかりました。ここでは、軽自動車の維持費にはどのようなものがあり、それぞれいくらかかっているのかを見ていきましょう。項目ごとの費用の算出方法は、以降の章で順にご紹介していきます。

■軽自動車(タント ※1)の年間維持費
項目 金額(年間)
軽自動車税 10,800円※2
重量税 3,300円※2
自賠責保険 9,865円※2、3
任意保険 30,630円※4
車検費用 約25,000円
ガソリン費(燃料費) 91,080円
駐車場代 320,000円
メンテナンス費 20,000円
合計 510,675円

※1 ダイハツ「タント」 L(2WD、燃費22.7km/L)車両重量880kg、総排気量658cc、2022年式と想定して算出
※2 2023年3月30日時点の費用
※3 車検時に24ヵ月分の支払いで19,730円のため、12ヵ月で9,865円
※4 ダイレクト型自動車保険、契約者年齢40代、車両保険なしと想定

軽自動車税

軽自動車税は、4月1日時点の車の所有者に対して支払いの義務が発生します。所有者のもとに納付書が届き、5月末までに1年分の金額を支払わなければいけません。

普通自動車を所有している場合、自動車税は車の排気量によって異なりますが、軽自動車税は一律10,800円です。ただし、普通自動車の場合は手続きを行えば残期間分の還付金を受け取れますが、軽自動車税の場合は還付の制度がありません。そのため、軽自動車を手放す場合はタイミングに注意しましょう。

重量税

軽自動車の重量税は、車の重量に関わらず、一律で税額は年間3,300円です。また、重量税は車検時に、新車の場合は3年分の9,900円、2回目以降は2年分の6,600円を一度に支払うことが一般的です。

重量税は車の廃車などで解体を行った場合、次回車検の残期間分に相当される金額が還付されます。車が解体されるときは、重量税の還付金の受け取りを忘れないようにしましょう。

自賠責保険

自賠責保険は、車を所有している人に加入が義務付けられています。自賠責保険の費用は、重量税と同様、車検時にまとめて支払います。加入するときは、ディーラーや保険会社で手続きをしましょう。

費用については重量税と同様、一律で金額が決まっており、軽自動車の場合は24ヵ月で19,730円、36ヵ月で26,760円です。

任意保険(自動車保険)

任意保険(自動車保険)への加入は義務付けられていません。しかし、損害保険料率算出機構による2021年度の調査によると、車の事故などに備えて車を所有している人の約8割が加入しています。仮に、契約者の年齢を40代、ダイレクト型自動車保険に車両保険なしで加入したと想定すると、年間で30,630円ほどかかります。保険料は、加入する保険の補償内容や契約する人の等級によって異なりますが、年間で3~5万円ほどかかると見積もっておきましょう。

※「等級」とは、契約者の事故実態に応じて、事故のリスクを数値化したもの。等級の数字が大きくなるほど、事故リスクの低い運転者として、自動車保険の割引率が高くなる

車検費用

車検は、新車購入から3年後に初回を受け、それ以降は2年ごとに受ける義務があります。車検にかかる費用は、重量税と自賠責保険の法定費用と、車検を依頼する工場や業者に支払う点検費用、必要があれば整備・修理費用があります。

車検費用は依頼先や修理費用によって異なりますが、ディーラーや業者に依頼する場合、5万円程度はかかると想定しておきましょう

ガソリン費(燃料費)

ガソリン費は税金や任意保険とは異なり、車の使用頻度や燃費、地域などによって左右される維持費です。仮に、東京都で月間1,000km走行すると想定した場合、月間で7,590円、年間で91,080円ほどかかると予測できます。

一般的に、普通自動車に比べ軽自動車のほうが車体が軽く、小回りも利くため燃費が良いとされています。ただ、近年では燃費が良い普通自動車も増えているため、普通自動車と軽自動車のガソリン費には大きな差異がないケースもあります。

※ガソリン費は月間1,000km走行すると想定し、東京都区部のレギュラーガソリン価格の平均167円、燃費を22km/Lとして計算

駐車場代

車の駐車スペースは、車の使用頻度に関わらず必要です。また、車を購入した際のナンバー登録時には、自動車保管場所証明申請書(車庫証明)が必要になるため、駐車スペースは必ず準備しましょう。

住んでいる家に駐車スペースがある場合は駐車場代がかかりませんが、駐車スペースがない場合は別途借りる必要があり、費用が発生します。

東京都で駐車場を借りるとすると、月間で26,919円、年間で約32万円かかると想定できます。なお、駐車場代は車両の区分に関わらず同じ費用が発生しますが、駐車場代を少しでも安く抑えたい場合は小型車専用の駐車場を探してみると良いでしょう。軽自動車や小型車は駐車スペースが小さい分、賃料が安く設定されていることがあります。

※2023年1月東京都区部の平均データより算出(小売物価統計調査による価格推移

メンテナンス費

車の状態や使用年数によっても異なりますが、定期的にメンテナンス費がかかることは念頭に入れておきましょう。例えば、エンジンオイルの交換は半年~1年に1回のペースでの実施が推奨されており、2,000~5,000円ほどかかります。そのほかにも、2年~5年ごとに必要なバッテリー交換、車の洗車やコーティング、キズや故障パーツの修復など、車にはメンテナンスすべき項目が多数あります。

普通自動車と軽自動車の維持費を比較

ここまで、軽自動車にかかる維持費を解説しましたが、普通自動車にかかる維持費と比較すると、どれくらい差が出るのでしょうか。記事の冒頭で紹介した軽自動車(ダイハツ「タント」)の諸費用と、普通自動車(トヨタ「ライズ」)の諸費用を比較してみました。

項目 軽自動車
(タント)
普通自動車
(ライズ ※1)
自動車税 10,800円 25,000円
重量税 3,300円 8,200円
自賠責保険 9,865円 10,005円
任意保険 30,630円 40,560円※2
車検費用 約25,000円 約27,500円
ガソリン費
(燃料費)
91,080円 100,200円※3
駐車場代 320,000円 320,000円
メンテナンス費 20,000円 20,000円
合計 510,675円 551,465円

※1 トヨタ「ライズ」 X(2WD、燃費20.7km/L)車両重量970kg、総排気量1,196cc、2022年式と想定して算出
※2 ダイレクト型自動車保険、契約者年齢40代、車両保険なしと想定
※3 ガソリン費は月間1,000km走行すると想定し、東京都区部のレギュラーガソリン価格の平均167円、燃費を20km/Lとして計算

軽自動車と普通自動車の維持費を比較してみると、メンテナンス費や駐車場代などは大きく変わらないものの、税金や保険料、ガソリン費に差が出ていることがわかります。また、自動車税と軽自動車税は所有している車の排気量や重量によっては、さらに大きな差が出る可能性もあるでしょう。

このように、車の購入価格だけでなく、維持費の面でも軽自動車のほうが安く抑えられるようです。ただ、普通自動車、軽自動車にかかわらず、維持費が高くなるタイミングがあります。また、普通自動車よりは維持費が安く抑えられるものの、年間で約50万円の維持費がかかってしまうのも事実です。

ここからは、維持費が高くなるタイミングと、維持費をできるだけ抑えるポイントを紹介します

維持費が高くなるタイミング

車の維持費は、「同じ車を長期間所有している場合」「外部要因での価格変動が起きた場合」に高くなります。高くなる維持費は次の項目です。

軽自動車税と重量税の重課

軽自動車税は、新車登録してから13年を超えた車には、通常の車より税額が約20%重課されます※1。通常、軽自動車税は一律で年間10,800円ですが、13年を超えると12,900円と、1,800円高くなるため注意が必要です

また、重量税も、軽自動車は一律3,300円(年間)のところ、新車登録から13年を超えると24%、さらに18年を超えると、13年経過時点から約7%重課※2と、段階的に税額が増えます。2年に一度の車検時に、2年分を支払う場合、13年を超えると8,200円、18年を超えると8,800円がかかります。

近年では、技術の進歩や高機能化によって同じ車に長く乗り続けられるようになりました。これにより平均車齢が上がっており、新しい車を購入する費用がかからないという利点もあります。しかし、支払わなければならない税金が高くなってしまう点には注意が必要です。

※1 出典:環境省「重課に係る論点について(p.2)
※2 出典:国土交通省「2021年5月1日からの自動車重量税の税額表(p.6)

経年劣化によるメンテナンス費用の増加

同じ車に長く乗り続けると、部品や外装など劣化した箇所が増え、メンテナンスの頻度が高くなります。エンジンオイルやエアコンフィルターなど半年~1年くらいの周期で定期的なメンテナンスが必要なものもあれば、5~10年で不調が出てくる箇所もあります。

例えば、タイミングベルトは10年(もしくは10万km走行)で、タイヤは製造から5年、最長でも10年での交換が推奨されています。車を安全に走行させるために必要な部品以外にも、「エアコンを新しくしたい」「カーナビを最新の機種に取り替えたい」など、車を快適に使用することを考えると、メンテナンス費がどんどん高額になってしまうでしょう。

ガソリン価格の高騰

ガソリン価格は、住んでいる地域差以外にも、さまざまな要因によって変動しています。ガソリンの原料である原油は輸入に頼っているため、原油価格の変動以外だけでなく、為替レートの変動にも大きく影響されます。また、ガソリンにかかる税金の変動も影響しており、コントロールや予測が難しいのが実情です。

しかし、ガソリン費は車に乗っている限り必ずかかるため、「車を手放す」「車での移動を控える」など、車に乗らないことでしか出費を抑えられません。ガソリン費に関しては、為替レートやガソリン税などの税率の変動で価格が変わり、どうしても高くなってしまうことは覚悟しておきましょう。

維持費をできるだけ抑えるポイント

車の維持費は、同じ車に長く乗ると増加していきます。ただし、いくつかのポイントを押さえると維持費の節約ができます。軽自動車だけでなく普通自動車にも当てはまるので、少しでも維持費を抑えたい人は参考にしてみてください。

減税の対象となる車を選ぶ

先に述べたように、軽自動車税や重量税は経過年数によって重課される制度がありますが、減税になる制度もあります。軽自動車税の場合は「グリーン化特例」、重量税の場合は「エコカー減税」を、対象車を新車新規登録した場合に利用できます。軽自動車税では、登録した翌年度の軽自動車税が概ね75%軽課※1、重量税では、最大で登録した年と次回車検時の税金が免除※2となります。

減税の対象車は、おもに電気自動車や燃料電池自動車など、環境への配慮があるものです。最大で2年分の税額を支払う必要がなくなるので、車を購入する際には減税対象車を選択肢のひとつとしてみるのも良いでしょう。

※1 出典:国土交通省「自動車税のグリーン化特例の概要(p.2)
※2 出典:国土交通省「2021年5月1日からの自動車重量税の税額表(p.4)

車検を「ユーザー車検」で行う

新車登録から2回目以降の車検(2年に1度)では、重量税や自賠責保険などの法定費用の支払いに数万円がかかるだけでなく、ディーラーや業者への依頼にかかる手数料や整備費用が加算され、5万円前後の費用がかかってしまいます。車検費用を抑えたい場合、自分で検査を行う「ユーザー車検」を選ぶという方法があります。

ユーザー車検は、車検に関わる書類手続きや検査を自分で行うため、支払う費用は法定費用のみとなり数万円の節約ができます。ただ、手続きに時間や手間がかかる点や、自分で点検を行えるだけの知識が必要な点に注意が必要です。ユーザー車検を行う場合は、必要な書類や手続き、点検項目などを予め調べてから準備をしましょう。

維持費が高くなる前に車を乗り替える

各種税金や経年劣化によるメンテナンス費用など、車は長く乗ると維持費が高くなっていく傾向があります。そのため、再販価値が高いうちに車を売り、次の車に乗り替えるという選択肢もあります。車検前や軽自動車税の支払い前など、一定額の支払いが発生するタイミングに車の乗替えを検討しても良いでしょう。

ただし、軽自動車を売却するタイミングには注意が必要です。軽自動車税の説明でも触れたように、1年分の支払いをした後に車を手放した場合、残期間の還付金を受け取れません。売却を考える際には、できるだけ残期間が発生しない時期を選ぶことをおすすめします。

まとめ

軽自動車の年間の維持費は約50万円で、普通自動車に比べれば安く抑えることができます。ただ、軽自動車、普通自動車に関わらず、同じ車に長く乗れば乗るほど維持費が高くなる傾向があります。さまざまな制度の利用で維持費の節約ができますが、「高く売れるうちに乗り替える」というのもひとつの方法です。

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ガイドプロフィール
渡辺 剛志(わたなべ・つよし)
株式会社ウェブクルー 自動車関連サイト 営業担当

株式会社ウェブクルーが運営する自動車関連サイトの営業担当者。新車・中古車を問わず、マーケット動向に深い知見を持つ。

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