運転中の通話は飲酒運転よりも危険!
ハンズフリー機器は“応急措置”として利用しよう

ガイド:矢部 亨

車の運転中は、前方はもちろんのこと、後方、左右に気を配りながらハンドルを操作しなくてはいけません。しかしそれを妨げる一因となるのが、運転中にかかってくる電話。通話のために携帯電話やスマートフォンを手に持った状態で運転するのはたいへん危険な行為であり、当然、道路交通法でも禁止されています。現在では、手を使わずに通話できるハンズフリー機器を使えば運転中の通話も認められていますが、会話に気を取られると、とっさの判断が鈍くなるのは紛れもない事実。ある調査では、「ハンズフリー通話は飲酒運転よりも反応を鈍らせる」という結果も出ているほどです。交通事故を起こさないためにも、運転中の通話は最小限にとどめ、「周囲の状況をよく確認した上で停車し、あらためて掛け直す」のがベストと言えるでしょう。

運転中に携帯電話を持って通話することは法律で禁止されていて、取締まりの対象にもなっています。しかしながら、運転中の着信を避けることはできません。そのようなときにどう対処すれば、より安全なのでしょうか。また、運転中の通話はどれくらい危険なのでしょうか。詳しく解説します。

基本的に運転中の通話はNG!ただし、限られた条件下では可能

自動車の運転中に、通話しようと携帯電話やスマートフォンを手に持ったり、それらの画面を注視したりすることは法律で禁止されています。違反した場合には、次のような反則金と行政処分が科されるため、あらためて確認しておきましょう。

■運転中に携帯電話を使用した場合の違反点数・反則金・罰則
反則行為の種類? 違反点数 反則金額※1 罰則
携帯電話使用等(交通の危険)違反※2 2点 9,000円 3ヵ月以下の懲役
又は5万円以下の罰金
携帯電話使用等(保持)違反※3 1点 6,000円 5万円以下の罰金

※1 普通車の場合
※2 携帯電話を使用して、道路における交通の危険を生じさせた場合
※3 運転中に携帯電話で通話したり、画面を注視した場合

「ハンズフリー機器」を使用すれば運転中でも通話OK

運転中の通話が禁止されている理由として、電話機を持つために片手運転になってしまうことや、会話に気を取られて注意力が散漫になってしまうことなどが挙げられます。運転に集中し、正確にハンドルを操作するためには、携帯電話での通話は極めて危険な行為なのです。

しかしながら、業務中や緊急時などには、運転中にどうしても通話が必要になる状況もあるでしょう。そんなときのために、「ハンズフリー機器」を利用した通話は認められています。ハンズフリー機器とは、その名の通り、手を使わずに通話するための機器。「ヘッドセット」タイプ(片耳用のイヤホンマイク)や、運転席の近くに設置する「固定」タイプ(スピーカーフォンやハンズフリーキットなど)があります。どちらもマイクとスピーカーが内蔵されていて、携帯電話やスマートフォンと無線(Bluetooth方式)で接続して通話します。

都道府県によっては運転中の使用が禁止されているハンズフリー機器も
運転中のハンズフリー通話のうち、イヤホンマイクタイプの使用は都道府県によって禁止されている場合も。都道府県ごとの条例で定められているので、自身の都道府県ではどうなっているのか、よく確認しましょう。

ハンズフリー通話は飲酒運転よりも反応を鈍らせる

運転中の通話には便利な「ハンズフリー機器」ですが、「これを使えばもう安心」と言えるわけではありません。通話に意識が集中してしまい、運転がおろそかになって、交通事故を起こす例も少なくないからです。

では、「ハンズフリー機器」による通話は、運転にどのくらい影響を及ぼすのでしょうか。イギリスで行われたある調査では、驚くべき結果が出ています。

運転中の行動と反応時間の遅延率

上のグラフから、「運転中の反応速度は、飲酒運転よりも電話を手に持った状態やハンズフリー通話中のほうが遅い」ということがわかります。つまり、「ハンズフリー機器を使用したほうが安全であるものの、飲酒運転よりも危険である」、ということです。

このような結果を見ると、ハンズフリー機器を過信するのは危険であることがわかるでしょう。ハンズフリー機器を用いて応答するのは、あくまでも「電話がかかってきた際の応急措置」と考えるべき。電話がつながったら、運転中であることを相手に伝え、あとでかけなおすようにしましょう。もしくは、着信があったら周囲の状況を確認してから慌てずに停車し、それから電話に出るのがもっとも安全な方法と言えます。

2015年11月13日掲載

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ガイドプロフィール
矢部 亨(やべ・とおる)
フリーエディター、「Motor Magazine」「ホリデーオート」元副編集長

モーターマガジン社で「Motor Magazine」や「ホリデーオート」等の自動車雑誌やウェブサイトの副編集長、編集長を歴任。現在はフリーエディターとして、守備範囲を広げ活動中。

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