車を下取りに出したときの仕訳方法まとめ<法人と個人事業主別に解説>

ガイド:渡辺 剛志

事業用の車を売却したり、下取りに出したりしたとき、経理上でどのように仕訳すればいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。下取りの仕訳方法は、法人と個人事業主で異なります。仕訳は段階的に行う必要があるため、間違えないように注意しましょう。この記事では、車を下取りに出したときの仕訳方法を徹底解説します。仕訳方法は法人と個人事業主別に解説するので、これから事業用の車を下取りに出す予定がある人はぜひ参考にしてください。

事業内容によっては、営業や移動などで車が必要なケースもあるでしょう。車は年数が経つと劣化するため、事業で必要な限り、買替えの時期を迎えます。事業用の車を売却したり下取りに出したりした場合、どのように仕訳すればいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。

売却・下取りの仕訳方法は法人と個人事業主で異なるため、間違えないように注意が必要です。この記事では、車を売却または下取りに出したときの仕訳方法を法人と個人事業主別にわかりやすく解説します。これから事業用の車の買替えで下取りに出す予定がある人は、ぜひこのまま読み進めてみてください。

車を売却したときの仕訳は法人と個人事業主で異なる

車を売却したときの仕訳は、次の3段階で行う必要があります。

・所得の仕訳
・減価償却の仕訳
・消費税の仕訳

仕訳で上記の段階的なプロセスを踏むのは法人も個人事業主も同じですが、それぞれ方法が異なります。

所得の仕訳

法人名義で所有する車を売却した場合、事業の支出や収入に該当するので事業所得として計上します。一方で、個人事業主が個人名義で所有する車を売却した場合、事業所得ではなく譲渡所得としての計上が必要です。

個人事業主は、事業所得の帳簿から損益を切り離す必要があるからです。事業用の車を売却する行為自体は、法人も個人事業主も同じです。しかし、個人事業主の場合、経理上では「売却」ではなく「譲渡」とみなされます。

減価償却の仕訳

車を売却すると、帳簿をつける際に車両そのものの減価償却が必要です。車の資産価値は、会社の建物と同様に毎年減少するからです。なお、リサイクル預託金は減価償却の対象外になります。

減価償却が必要なのは、法人も個人事業主も同じです。減価償却の方法は、直接法と間接法の2種類があります。どちらの方法を選んでも、資産や経費の金額に違いが発生することはありません。なお、減価償却中でも車を売却すること自体は法律的に問題ないので安心してください。

直接法

直接法の正式名称は「直接控除法」で、固定資産から減価償却費を差し引く仕訳方法です。現在の状況だけを反映する方法なので、費用として計上できる金額を把握しやすい特徴があります。

間接法

間接法の正式名称は「間接控除法」で、減価償却累計額を計上する仕訳方法です。減価償却費を差し引く直接法と異なり、固定資産を減らしません。間接法は過去と現在の両方を反映する方法なので、直接法よりも情報量が多いです。

また、間接法には「科目別間接控除法」と「一括間接控除法」の2種類があります。科目別間接控除法は、固定資産を種類ごとに減価償却累計額を反映する方法です。

消費税の仕訳

消費税の仕訳には、「税込経理」と「税抜経理」の2種類があります。税込経理は、取引きの総額に消費税を含めて仕訳する方法です。一方の税抜経理は、取引きした金額に消費税を含めず、別項目に仕訳する方法です。

税込経理は税抜経理に比べて処理がしやすいため、採用している企業も多い傾向にあります。ただし、すべての取引きに対して同じ方法を用いる必要があるため、取引きごとの変更はできません。

車を下取りに出して買い替えた場合の仕訳

事業用の車を新たに追加しただけの場合は、購入した車の仕訳をまとめるだけなので処理がシンプルです。しかし、既存の車を下取りに出して買い替えた場合は、購入した車に加えて下取りに出した車の仕訳をする必要があります。

さらに、最後は購入した車と下取りに出した車の仕訳を合算しなければなりません。下取りに出した車の仕訳方法は、次の通りです。

借方 貸方
・現預金 ・車両運搬具
・預託金(リサイクル預託金)
・固定資産売却益

上記の通り、現預金以外の項目はすべて貸方に仕訳します。

【法人編】下取りの仕訳

法人が事業用の車を下取りに出して買い替えた場合の仕訳方法には、次の4通りがあります。

・直接法と税込経理で仕訳する場合
・直接法と税抜経理で仕訳する場合
・間接法と税込経理で仕訳する場合
・間接法と税抜経理で仕訳する場合

消費税の仕訳はすべての取引きで統一する必要があるため、自社の方法に適したものを参考にしてください。

【直接法と税込経理で仕訳する場合】
直接法と税込経理で仕訳する場合は次の通りです。

借方 貸方
・車両運搬具
・預託金
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・車両運搬具
・預託金
・現預金
・固定資産売却益

法人は、個人事業主のように租税公課や保険料などを自家用として差し引く必要はありません。事業主貸の借方処理が不要なので、直接法と税込経理の仕訳は至ってシンプルです。

【直接法と税抜経理で仕訳する場合】
直接法と税抜経理で仕訳する場合は次の通りです。

借方 貸方
・車両運搬具
・預託金
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・仮払い消費税等
・車両運搬具
・預託金
・現預金
・固定資産売却益
・仮払消費税等

税抜経理の場合は、借方と貸方の両方に「仮払い消費税等」の仕訳が必要です。

【間接法と税込経理で仕訳する場合】
間接法と税込経理で仕訳する場合は次の通りです。

借方 貸方
・車両運搬具
・預託金
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・減価償却累計額
・車両運搬具
・預託金
・現預金
・固定資産売却益

間接法と税込経理は、下取りした車の金額を変更せずに貸方仕訳を行います。合計金額は直接法と異なりますが、資産や経費の金額に違いが発生することはありません。

【間接法と税抜経理で仕訳する場合】
間接法と税抜経理で仕訳する場合は次の通りです。

借方 貸方
・車両運搬具
・預託金
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・仮払消費税等
・減価償却累計額
・車両運搬具
・預託金
・現預金
・固定資産売却益
・仮払消費税等

間接法と税抜経理で仕訳する際には、減価償却累計額のほかに仮払消費税等の計上が必要です。

【個人事業主編】下取りの仕訳

次に、個人事業主名義の車を下取りに出して買い替えた場合の仕訳方法を解説します。

【直接法と税込経理で仕訳する場合】
直接法と税込経理で仕訳する場合は次の通りです。

借方 貸方
・車両運搬具
・預託金
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・車両運搬具
・預託金
・現預金
・事業主借

個人事業主が直接法と税込経理で仕訳する場合、車の取得価額から減価償却費を差し引く必要があります。

【直接法と税抜経理で仕訳する場合】
直接法と税抜経理で仕訳する場合は次の通りです。

借方 貸方
・車両運搬具
・預託金
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・仮払消費税等
・車両運搬具
・預託金
・現預金
・事業主借
・仮受消費税等

直接法と税抜経理で仕訳する際には、借方に仮払消費税等と、貸方に仮受消費税等の記載が必要です。仕訳方法は法人と変わらず、車両運搬具は税抜で計算し、仮受消費税等に計上します。

【間接法と税込経理で仕訳する場合】
間接法と税込経理で仕訳する場合は次の通りです。

借方 貸方
・車両運搬具
・預託金
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・減価償却累計額
・車両運搬具
・預託金
・現預金
・事業主借

間接法と税込経理の仕訳では、減価償却費を差し引く必要はありません。減価償却費は法定耐用年数を参考にし、減価償却累計額に記載します。

【間接法と税抜経理で仕訳する場合】
間接法と税抜経理で仕訳する場合は次の通りです。

借方 貸方
・車両運搬具
・預託金
・支払手数料
・租税公課
・保険料
・仮払消費税等
・減価償却累計額
・車両運搬具
・預託金
・現預金
・事業主借
・仮受消費税等

間接法と税抜経理の仕訳方法は、基本的に法人の場合と変わりません。ただし、車両運搬具と減価償却累計額は税抜で計上する必要があります。

車を下取りに出したときの仕訳の注意点

車を下取りに出した際には、上記で解説した仕訳方法のほかに、注意しなければならない点があります。

リサイクル預託金の仕訳も必要

車を下取りに出して買い替えた場合、リサイクル預託金の仕訳方法に注意しましょう。リサイクル預託金は有価証券の扱いになるため、売買の際に消費税が課せられません。そのため、勘定科目は「預託金」で仕訳する必要があります。

取得価額に含まれる費用・含まれない費用

個人事業主が直接法と税込経理で仕訳する場合、車の取得価額から減価償却費を差し引かなければなりません。取得価額に含まれる費用は次の通りです。

・車の購入費用
・事業で使用するために直接要した費用
・引取運賃
・荷役費
・運送保険料
・購入手数料
・関税

一方で、次の費用は取得価額に含める必要はありません。

・税金関係
・車検や登録のために支払った費用
・ローンの金利や割賦手数料(分割払いの場合)

詳細は国税庁のサイトに記載されているので、仕訳をする際に参考にしてください。

譲渡所得税の申請も忘れずに

法人の場合、売却益や売却損は、特別利益や特別損失としてそのほかの利益と合算されます。一方で個人事業主の場合、売却損益は譲渡所得としてそのほかの所得と合わせて総合課税の対象になります。

課税対象になる金額は車の所有期間によって異なり、短期譲渡所得(5年以下)は譲渡所得の全額、長期譲渡所得(5年超)は譲渡所得の2分の1です。ただし、譲渡所得には50万円までの特別控除があるため、控除後に譲渡所得がマイナスになった場合は非課税になります。

非課税であれば確定申告は不要ですが、譲渡所得で利益が出ているのであれば、事業所得とは別に確定申告が必要です。確定申告の際には両方の手続きを忘れないようにしましょう。以下の記事では、譲渡所得の計算方法を詳しく解説しています。確定申告の手順も併せて紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
>>車の売却で確定申告はマスト?必要なケースと不要なケースを総解説

車を下取りに出したときには3段階の仕訳が必要

法人や個人事業主が事業用の車を下取りに出して買い替えた場合は、所得・減価償却・消費税の3段階の仕訳が必要です。ただし、仕訳方法は法人と個人事業主で異なるため、間違えないように注意しましょう。

また、消費税の仕訳はこれまでの取引きと同じ方法に統一する必要があります。税抜経理や税込経理に切り替えたくても、一度どちらかで仕訳していれば変更できません。

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ガイドプロフィール
渡辺 剛志(わたなべ・つよし)
株式会社ウェブクルー 自動車関連サイト 事業責任者

株式会社ウェブクルーが運営する自動車関連サイトの事業責任者。新車・中古車を問わず、マーケット動向に深い知見を持つ。

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