住んでいる地域に合わせた愛車のメンテナンス
~海沿い・線路沿い・降雪地帯・山間部~

ガイド:山田 正昭

高温多湿な日本は、もともと車にとって非常に厳しい環境。愛車の状態・価値を維持するためには、入念なメンテナンスが必須です。特に、海沿いや降雪地帯に住んでいる人は注意が必要。潮風や融雪剤は車の大敵なのです。また、場所によっては鉄粉や未舗装路への対策が必要になる場合もあります。いずれの場合も対策の基本はこまめな洗車ですが、泥や砂でボディを傷つけないよう、こすらずに大量の水で洗い流すのがポイントです。

車を傷めるものと言えば、一般的には湿気や紫外線、それに酸性雨などが挙げられます。これらの要因は日本のどこにいても大差はありません。しかし、地域によってはこれらと別に、車を傷める特有の要因があります。自分の住んでいる地域の環境に合わせた愛車のメンテナンスを考えてみましょう。

潮風を浴びた車は大量の水で塩分や砂を洗い流す

最近の車は、サビの発生を抑える防錆処理がしっかりしているため、海沿いで車に乗っているからといってそうそうサビが出ることはありません。しかし、塩害と無縁の地域の車と比較して、海沿いで乗られている車のほうが傷みが早いのは事実。また、海に非常に近い場所では、塩害だけでなく砂によるボディのダメージも問題となります。

海沿いの潮風による塩害対策は、塩分を溶かして洗い流す水洗いが基本。つまり、こまめな洗車が必要です。このとき、カーシャンプーやワックス、コーティング剤などにこだわる必要はありません。それよりも大量の水でジャブジャブ洗うようにすると、手間がかからず効果も高くなります。また、ボディに砂が付着している場合も、大量の水で洗い流すのが基本です。砂はほかの汚れと違い、非常に硬く、鋭利です。砂が付着したままボディをこすれば間違いなく傷だらけになるので、触らずに水流で洗い流すのです。

こうした洗車方法は普通のホースでは難しいので、洗車場を利用するか、低価格になってきた家庭用の高圧洗浄機を使うといいでしょう。

車のボディで錆びやすいのは、ドアの下部や、その下のサイドシル、前後フェンダーの下部などです。こういった部分は念入りに洗うだけでなく、できるだけ早く水気を取ることも大切。また、縁石にぶつけたりして塗装が剥がれると、そこから錆びることも。ボディの下側に近い場所は見えづらく、へこんでも放置しがちですが、たとえヘコミは直さなくても塗装だけはしておくべきです。

融雪剤には防錆処理も検討したい

雪国で使用される融雪剤は、車を激しく錆びさせることが知られています。一番いいのは、融雪剤が撒かれた道路を走らないこと。そう言いたくなるほど、融雪剤の害は大きく、海沿いの塩害と比較しても際立っています。しかし、それでも走らない訳にはいかないという人がほとんどでしょう。対策の基本は、やはりこまめな洗車となります。

ただし、海沿いの塩害対策の洗車とは違って、洗うのはボディの下側です。頻度は高いほどよく、可能なら融雪剤の上を走るたびに洗うのが理想です。下回りを洗うのは普通のホースでは難しいので、やはり洗車場か高圧洗浄機を使いたいところです。

こまめな洗車は手間が掛かり過ぎるというなら、より本格的な防錆処理を愛車に施す方法もあります。特殊な塗料やワックスのようなものを下回り全体に塗布する処理が一般的で、雪国にはこうした処理をしてくれる業者がたくさんあります。また、スプレー式の防錆剤が販売されており、自分で塗布することも可能です。

ところで、融雪剤はエンジンルームの中にも大量に入り込みます。雪国で使われた車はボンネットを開けるだけでわかるほど。しかし、エンジンルーム内を頻繁に洗っていては故障の原因になりかねません。また、前述の防錆処理もエンジンルーム内は対象外なのが普通です。そこで、エンジンルーム専用ワックスを使うといいでしょう。防錆用の製品ではなく、エンジンルームをきれいに見せるためのものですが、何もしないよりははるかに防錆効果があります。

線路の近くでは鉄粉除去を

鉄道の線路の近くに住んでいる人は、愛車に降り注ぐ鉄粉に注意してください。洗車やワックスがけをしたのにどうもボディがザラザラしているといった場合は、鉄粉が原因であることが多いのです。

鉄粉を放置するとボディの艶がなくなるだけでなく、最終的にはサビの原因になります。しかも、塗装面に突き刺さるように付着しているため、通常の方法では取れません。そこで使いたいのが鉄粉除去粘土、と言いたいところですが、特殊な粘土でボディを擦って鉄粉を落とすこのアイテムは、手間がかかる上に、使い方を間違えるとボディを傷つける危険性もあります。

現在は鉄粉を除去できる優れたケミカル用品があるので、これを利用した方がいいでしょう。鉄粉に対して化学反応を起こす特殊な液剤で、ボディにスプレーして数分放置し、水で洗い流すだけで鉄粉を除去できます。スプレーした液剤が紫色に変色したら、そこに鉄粉があり、それを化学反応で除去しているということです。

未舗装路のある山間部や郊外では泥に注意

道路の整備が行き届いている日本でも、山間部には未舗装路がたくさん残っています。こういった道路を走る機会が多い車の場合、ボディや足回りへの泥の付着は避けられません。泥は湿気を溜め込むので、付着した部分はいつも濡れているのと同じ状態になり、錆びやすくなるのです。

対策はもちろん、こまめな洗車。付着した泥は大量の水で洗い流して落とします。ボディに付着した泥は絶対にこすってはいけません。強い水流で洗い流しましょう。また、こういった環境では、土ぼこりでエンジンのエアクリーナーフィルターやエアコンのフィルターが詰まりやすくなるため、早めに交換したほうがいいでしょう。エンジンのフィルターが詰まると、燃費にも悪影響を及ぼします。

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ガイドプロフィール
山田 正昭(やまだ・まさあき)
自動車・バイク・ITジャーナリスト/YouTuber

自動車雑誌、バイク雑誌の編集を経て、フリーランスとして独立。Webに活躍の場を移し、多数のサイトで執筆活動を展開中。カーナビやデジタルガジェットのインプレッション記事も得意とする。最近はYouTubeで車やバイクのレストア・整備・修理などを公開中(まーさんガレージ:https://www.youtube.com/user/yamada911/)。

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